小説永井荷風伝 他三篇 (岩波文庫 緑 71-6)
小説永井荷風伝 他三篇 (岩波文庫 緑 71-6) / 感想・レビュー
sh
日記や随筆で荷風自身が見せる姿とはまた異なる荷風の姿が見える。三田で教鞭をとっている頃の逸話は面白かった。
2020/03/08
大臣ぐサン
佐藤春夫が師である永井荷風の生涯を小説として著した作品。生前に書かれた『最近の永井荷風』『永井荷風ーその境涯と芸術』も付される。師との緊密な関係は生涯を通して続いたわけではないようだが、一時期は大分近しい関係にあったようで、大作家の人となりが垣間見れるエピソードも多数。その最期は作家の成功からは考えられないほど寂しいもので、涙を禁じ得ない。
2019/10/04
amanon
小説とは銘打っているが、どちらかというと、エッセイあるいは回想記と言った趣が強い。きかん気の強い放蕩者でありながら、その実小心者で繊細という二面性を持つ荷風の人物像がかなりリアルに描かれている。また、著者が荷風を努力家タイプと評しているのが、印象深かった。荷風といえば、娼館を遊び歩くというイメージが強く、努力家という言葉とは程遠いという印象があったので。また、深く母親を愛しながらも、とある経緯から、親兄弟との関係を断絶し、その晩年を独居生活で送った荷風の姿に、つい我が身を重ね合わせてしまった…
2014/04/26
壱萬参仟縁
「三田の学塾に於ける荷風は教壇にまた『三田文学』の編輯に風雪の朝も休講の事とて殆どなく、『三田文学』にも毎号必ず二、三篇を執筆して怠らなかった。当時三田の学塾に学生であった筆者(佐藤春夫氏)の良く知るところである。この勤勉な態度は鷗外柳村の推挙を思い、その知遇の恩に酬ゆる志であったろう」(272ページ)。現代も雑誌は発刊が継続している伝統的な書物である。文学部の機関誌(33ページ)との位置づけは不朽のものとなっている。
2012/08/04
うろたんし
佐藤春夫は勿論、永井荷風も、森鴎外も、もっと好きになった。
2011/07/25
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