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至福千年 (岩波文庫 緑 94-2)

至福千年 (岩波文庫 緑 94-2)

至福千年 (岩波文庫 緑 94-2)

作家
石川淳
出版社
岩波書店
発売日
1983-08-16
ISBN
9784003109427
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至福千年 (岩波文庫 緑 94-2) / 感想・レビュー

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syaori

開国と攘夷に揺れる幕末の江戸を舞台に、『ヨハネ黙示録』に約束される千年王国建設を企てる切支丹たちの暗躍が描かれます。「信仰の道は」「一筋ではない」と言う通り、切支丹たちも各人各様、信仰について様々に信念を見せますが、「高き宿願」に向けて進むにつれ、惑い、力に酔い、欲に酔い、地上楽園建設のために引き入れた無頼の徒の活力や時勢に飲み込まれていくのが印象的。終わってみれば民衆の地鳴りのようなエネルギーが大地を覆っていて、千年王国は移ろい、流れることをやめないこの力の元にあるのではないかという気持ちになりました。

2020/12/07

HANA

岩波が出したとは思えない伝奇ロマン、解説は澁澤龍彦。時は幕末、切支丹伴天連の教えに従い千年王国建設を目指す妖人加茂内記、対するはマリヤ信仰の弘布者松太夫、さらにその周りを取り囲む一筋ならぬ登場人物たち。と現実の裏で進行するもう一つの物語、斯様な設定は八十年代に日の目を見た伝奇ロマンを愛する身としては応えられないわけです。ただ内容は最後まで取っ散らかってるので、そういう所もやはり『神州纐纈城』や『妖星伝』的な伝奇ロマンぽいなと思ったりするわけです。あと階級闘争が裏に透けて見えるのも、やはり八十年代風だなと。

2019/05/05

loanmeadime

八割、九割読み進めたところから急にペースが落ちました。おそらく多くの方が指摘されていることでしょうが、賀茂の内記の企ては挫折するのが目に見えていて、現実にあった話も対応させることができそうです。一例を挙げれば、1970年代初頭にあった連合赤軍の一連の事件などがそれで、結末が見えていては物語に乗るのは少し難しい、という気がしました。幕末については、NHK大河ドラマの篤姫が殆どという私なので、いろいろ検索もして勉強になりました。

2020/12/30

壱萬参仟縁

書名は、澁澤龍彦氏の解説によると、ユダヤ教の黙示文学に描かれた思想とのこと(465頁)。初めての経験だが、岩波文庫にも正誤表が挟まれていた。これは真摯な編集方針だ。わたくしも自作しているので。「およそ富と力とのまぼろしをそそのかすようなものの無い世界をば、一千年の王土とは呼ぶぞ」(159頁)。富と力か。まぼろしか。持たざる者としては。「もののはじめはすべて空空寂寂ではないか」(195頁)。平等や共有の原始。法。権。盗み。文質彬彬(ひんぴん)。社会運営は容易でないと思える箇所。「富を積むは罪をかさねる所以。

2014/02/14

耳クソ

いずれまた読む。まだやれることがあると思う。

2021/12/15

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