あきらめ,木乃伊の口紅 他4篇 (岩波文庫 緑 112-1)
あきらめ,木乃伊の口紅 他4篇 (岩波文庫 緑 112-1) / 感想・レビュー
moyin
Kindleで「木乃伊の口紅」を読んだ後、やはりこの作者をもっと知りたいと思うから、中古本を購入。表題作の「あきらめ」、途中まで何だか違和感を持っていたが、「なりそこねたレズビアン」主人公の小説として読めば納得できる。それが作者自身の道にも重なる。
2022/11/06
ハチアカデミー
B 女性の記す私小説、「木乃伊の口紅」が傑作。男性作家による私小説においては、女性は口をはさみこそすれ、その内面は語られることは少ない。男が思案し(定職に就かず)、女が動く(稼ぐ)という定型を持つ。その定型を維持しつつ、女性が自我を持った存在として描かれるのだからさあ大変。芸術至上主義の妻と、そのヒモのような旦那。己の価値を高めるためなら、小説も書くし女優にもなる。一方の旦那はその妻の芸術に食わせてもらうことしか頭にない。二人の会話とともに、互いの内面描写が入るため、男と女、言葉と本音が絡み合う構成が◎
2012/09/13
あにこ
出世作の『あきらめ』が、分量にするとこの短編集の半分を占めているわけだが、これが驚くほどつまらない小説である。それを書いた頃の身辺をモデルにして書いたらしい『木乃伊の口紅』を二番目に読んだが、これも全然面白くはない。ところが、他の収録作はむしろ面白かった。■言い回しがねじれて全然意味の通らなくなっている文章がいくつも見られたり、まるで無意味な描写もあったりと、全体的に冗長。今日からすると素人くさい作品というのが率直な感想だ。より正確には「ポテンシャル高めの素人」くさい作品というか。
2019/12/08
サラ
田村俊子というのは自我が強い文章家ですね。どの作品を読んでも作者自身の圧倒的存在感がビシバシと。文体も何か独特で。読者の身体感覚にぐいぐい食い込んできます。「男の生活を愛する事を知らない女」みのると、「女の藝術を愛する事を知らない男」義男。『あきらめ』『誓言』『女作者』『春の晩』『木乃伊の口紅』『榮華』収録。
2014/10/29
ともみ。
なんか妙な世界観。倉橋由美子(だっけ)の聖少女と似てるような…気のせいか。でもなんか哲学的、耽美的、不思議。
2012/03/30
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