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堕落論・日本文化私観 他二十二篇 (岩波文庫 緑 182-1)

堕落論・日本文化私観 他二十二篇 (岩波文庫 緑 182-1)

堕落論・日本文化私観 他二十二篇 (岩波文庫 緑 182-1)

作家
坂口安吾
出版社
岩波書店
発売日
2008-09-17
ISBN
9784003118214
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堕落論・日本文化私観 他二十二篇 (岩波文庫 緑 182-1) / 感想・レビュー

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踊る猫

坂口安吾の書くものを読むと元気が出る。だが、それは単純な「癒し」によるものではなくむしろ劇薬を飲んだ後のような回復感とでも呼ぶべきものだ。安吾自身、他ならぬ自分の書き散らしたものに鼓舞されて生きていたのではないか……と考えるのは邪推だろうか。生きている人間たちを肯定し、愚かしい俗人たちに満ちた世界をそのまま肯定し、そこから生まれる文学も(ただし、一切の虚飾を排したストレートなものに限定した上で)肯定する。そうした肯定のおおらかさがこの落ち着きのない、とっ散らかったエッセイたちの中を串のように突き刺している

2023/04/28

アマニョッキ

先日馴染みの店でこの本の話題が出たので再読してみる。はるか昔に読んだときには感じなかったが、まさに仏の教えではないか!どんなに醜いもの、汚いもののなかにも内なる「美」はそなわっていて、内的必然性によって表に出てきたものこそ本物だと。「生きよ、堕ちよ」ストレート!いや安吾さん、やっぱり好きですわ!

2017/09/03

Tai

好きなものは好き、厭なものは厭と赤裸々な心を突きとめ見つめることが人間復活の第一条件で、そこでようやく自我が生まれる。人生の不幸、悲しみ、苦しみというものは厭悪、厭離すべきものときめ疑ることも知らぬ魂の方が不可解だ。悲しみ、苦しみは人生の花だ。悲しみ苦しみを逆に花さかせ、楽しむことを発見する。私は弱者よりも、強者を選ぶ。積極的な生き方を選ぶ。この道が実際は苦難の道なのである。なぜなら弱者の道はわかりきっている。暗いけれども、無難で、精神の大きな格闘が不要なのだ。ところで夏目漱石は人間を忘れていたという。

2022/04/15

わっぱっぱ

チェーホフ言うところの“可愛い女”である私の、近頃の常套句は、「安吾もそう言うてる」。たった二冊ですっかり安吾かぶれである。 人生なんか無益なもんだと嘯きながら決して世界に、自分に絶望しなかった人。頭抜けた知性と慧眼にはただただ瞠目だけど、世俗への嫌悪や創造する人生への希求、内的懊悩といった情念がまた凄いのです。 彼の論説、作品は、私たちへというより彼自身への「自らを生きよ」との檄文なのかと思うと泣ける。本人聞いたら心外かもしれんけど、頑張りやさんやったなぁと思うよ安吾。

2017/02/11

ふじみどり

近すぎる。60年以上前に亡くなったはずの坂口安吾に鼻息の吹きかかる至近距離で語られているような感覚だった。女系家系の上に父も祖父も叔父も早くに亡くした私には中年の男性との関わりがほとんどなかったので一般的な偏屈のおじさんと坂口安吾との語り方の違いはよくわからないが、なぜだかとても親近感を感じた。ああ、それはいつも私が感じてること。60年経っても「健全なる道義」は不快な天井のしみのようにいまも変わらずあり続けるよと返事したくなったり、それはちょっと過剰じゃないかと思ったり、元気づけられたり、きっぱりとした

2013/05/17

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