三島由紀夫スポーツ論集 (岩波文庫 緑 219-3)
三島由紀夫スポーツ論集 (岩波文庫 緑 219-3) / 感想・レビュー
佐島楓
三島の死生観にボディビルやボクシングなどの身体体験が深く関わっていることがよくわかる一冊。晩年のマッチョな体系はそういうことだったのか! 流麗な比喩の東京オリンピック観戦記も三島の素直な感動が伝わってきて面白い。
2019/05/22
gtn
「円谷二尉の自刃」の一文。「美しい自尊心による自殺」と円谷幸吉の自死を美化する三島。オリンピックという贋物の大義から真の大義を類推し、悲壮劇を演じるかの如く、拳銃や毒薬ではなく剃刀で血潮を散らして死んだと、円谷への宣揚は続く。しかし、その賛嘆はおそらく嫉妬の裏返しだろう。先を越された負け惜しみのように聞こえる。
2020/01/23
しんすけ
三島にとってスポーツとはローマ時代の精神を継承する行為でなければならなかったのでないだろうか。 それは本書に下記のような言及が観られるからである。 <私は球戯一般を好まない。直接に打ったりたたいたり、じかな手ごたえのあるものでないと興がわかない。> <私は大体、団体競技よりも一対一の勝負が好きだ。> 三島の生き方を顧みれば、スポーツも死を対局に控えさせねばならないのだろうか。 三島が嫌った団体競技も、ボールに変えて日本刀を用いれば好ましいものに変わったかもしれない。
2019/07/11
ジュンコ
今年の「憂国忌」本。自分が生まれるずっと前の東京オリンピックのことが、生き生きと感じられる。三島の手にかかると、何でも文学になるんだな。
2023/11/25
桃の種
太陽と鉄が強烈だった。今日が死後50年。読めば読むほど死へ向かう三島由紀夫が生々しく浮かび上がってくる。死は彼に彼の存在をもたらしたか?
2020/11/25
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