化鳥・三尺角 他六篇 (岩波文庫)
化鳥・三尺角 他六篇 (岩波文庫) / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
人間とあやかしがふとした拍子に混ざり合い、離れていく一瞬を描いた短篇集。『化鳥』は以前、波津彬子さんの漫画で読んだことがあるのでビジュアルも波津さんのタッチになりました。『朱日記』の歯切れのいい粋な会話とその会話で際立つ現実に幻想世界がそっとすり寄っていくような描写もとても味わい深いです。『茸の舞姫』は『きのこ文学大全』で既読。トランス状態となった人間とあやかしの静かで狂乱じみた一時は、それだけで幻想的で現世に帰りたくなくなる魔力があり、読者にとっても危険です(笑)
2013/12/26
HANA
人が茸に猪に化し、茸の姫は蜘蛛の巣の着物、赤合羽の坊主、想いに答えて芽吹く木。短編八篇が収められているが、収録されているのはどことなく幻想の香り漂う作品ばかり。既読のものも多かったが、それでも人と動物、草木が溶け合う独特のアニミズムに満ち溢れた「化鳥」や魔の物によって引き起こされる惨禍「朱日記」、仙境を訪れた人間を描いた「茸の舞姫」等何度も再読に耐える名品が多数収録されているので、そこは全然気にならなかった。人が自然と一体化し自然も人の想いに応える、鏡花独特の思想が垣間見える作品が集められているのか。
2013/11/25
Tonex
泉鏡花の初期から中期の約20年間の作品から8篇を収録。濃淡の差はあれ、いずれもどこかに幻想のモチーフを含んでいる。▼泉鏡花は最近キノコ文学のからみで読んでいるが、本書には「化鳥」「清心庵」「茸の舞姫」の3篇のキノコ関連作品が収録されている。また「朱日記」にも茸狩の話が出てくる。いずれも心に残る佳品。▼詳しい注と作品解説が付いていて理解の助けになるが、それでもよくわからない部分がたくさんある。特に「第二菎蒻本」は江戸時代の遊里文学のパロディであり、遊郭や洒落本の知識がないと歯が立たない。
2016/04/08
えりか
あぁ、いつ現実から非現実へ迷いこんだのでしょう。綺麗で美しくて幻想的で、うっとりとします。言葉の流れも好きです。うっとり。「化鳥」は金沢の浅野川など美しく静かな趣のある景色を思い出しながら、読みました。私も、おっこちていたら「羽の生えたうつくしい姉さん」が助けてくれていたかしら。/『敢えて未来のことはいわず、現在既にその姿になって居るのではないか、脱け出した或者は、鳴き、且つ飛び、或者は、走り、且つ食う、けれども衣を脱いで出た蛇は、残した殻より、必ずしも美しいものとはいわれない。』(三尺角)
2015/07/05
魚京童!
だってわたしが 鳥のようにみえたんですもの。
2014/11/25
感想・レビューをもっと見る