完訳 ナンセンスの絵本 (岩波文庫 赤 289-1)
完訳 ナンセンスの絵本 (岩波文庫 赤 289-1) / 感想・レビュー
のっち♬
合計200あまりのリメリック(戯れ歌)と、テキストのナンセンスな精神を見事に捉えたイラストで構成される。イラストはシンプルかつ表情豊かで、風変わりなキャラクターとシュールな状況を中心に展開される。読み手の語彙や想像力を刺激する遊び心や不条理で溢れている。「ombliferous」「scroobious」といった造語も著者のセンスが光っている。センテンスは一貫した構造を持ち、音楽的な性質を持つアナペスト詩形は言葉そのものが絵に感じられるくらい視覚的。翻訳者のこだわり抜いた言葉選びも大きな読みどころだろう。
2024/09/06
keroppi
リアの手になるナンセンス 韻をふんだる翻訳センス 笑いを誘うイラストもっと ページめくって気持ちもほっと 翔んだるイメージ氾濫す
2020/04/30
傘緑
「コルフの男することなし、そこであちこち歩きっぱなし、ほっつき歩いてほとほと嫌気、それでとうとうこんがり日焼け、とんとんひまな男の話」リアと同じくイギリスを飛び出て、ギリシアのコルフ島に魅せられて移り住んだ変わり者、ロレンス・ダレル。彼のコルフ島滞在記である『予兆の島(プロスペローの岩屋)』に描かれる島民たちののんびりとした、暇で鄙びた暮らしは(この島の先輩リアへのオマージュも多少はあると思うが)この戯れ歌と挿絵にそのまま書かれた通り、この詩に限ってはナンセンスどころか実体験によるリアリズムの絵本なのかも
2016/10/26
藤月はな(灯れ松明の火)
英語の詩はやっぱり、英文で読まないと韻の踏み方や文章の納め方が分からないのですが原文もついていてお得です。(「殺人は広告する」も原文で読みたかった・・・orz)原文を音にして読んで見るとニヤニヤできるのですが日本語訳も素晴らしくて感動しました。原文は同じ文章を繰り返すものが多かったにヴァラエティに富んでいながらもちゃんと韻を踏んだ日本語の詩に直した柳瀬尚紀氏に拍手。
2012/07/14
skellig@topsy-turvy
ヴィクトリア女王に絵を教えたこともある画家、エドワード・リアの面白面が悠々と発揮されたナンセンス戯画&詩集。訳者泣かせと思われる原文を翻訳、時には翻案(?)しながらリズム感溢れる笑いの日本語にした柳瀬氏が凄い…。奇人変人のオンパレードで諷刺も嫌みもない、無垢の言葉遊びと奇想世界が楽しい。
2013/06/08
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