風と共に去りぬ(一) (岩波文庫)
風と共に去りぬ(一) (岩波文庫) / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
高1の夏休みに夢中になって読んだシリーズが新潮文庫、岩波文庫から新訳で復刊されたと聞いて再読。かつてはスカーレットに感情移入しながら読んでいましたが、今ではスカーレットの気性の粗さ、女の子だからこその狡さ、恋に恋していることに気づかない愚かさを少し、離れた地点で観ている私がいました。でもスカーレットはやっぱり、今でも好きです。そして今後の展開を知っている身としては「アシュリーの腰抜けは諦めた方がいいぞ~、スカーレット」とか「レット・バトラーってツンデレなんだよな・・・」と微笑ましく、思っていました。
2015/06/07
Mijas
岩波文庫版(2015年4月発行)を見たら、訳者の解説が「スカーレットとそのDNA」という題。興味深かったので再読。解説を読んでから本文を読み、19世紀のアメリカ社会に対する考察を深める一冊となり得た。解説は、アイリッシュ・アメリカンの歴史的背景、ケネディ大統領の選出にまで話は及び、アイルランド移民差別の空気があったと述べる。その中でアイルランド人の誇りを忘れず、たくましく生き抜くオハラ家。スカーレットがメラニーへの敵意を剥き出しにする所、アシュリーに告白して玉砕する所もそうした背景から読めるかも。
2015/11/09
さゆゆ
新訳。風と共に去りぬを未読の方には、本書はお薦めできない。大久保康雄訳を薦める。冒頭の登場人物や後書きなど、全六巻の内容があまりにも簡潔にネタバレされてしまっている。この壮大な話の結末を知って読んでしまうのは、あまりにも勿体ない。私がはじめて本書を読んだのは中学の頃で、衝撃のあまり世界一愛する本となった。当時の私は読解力が乏しく、会話から会話へと文章を読み進め、本質が見えていなかった。
2017/07/02
きいち
30数年ぶりの再読、こんなに批判精神のあふれた小説だったとは思わなかった。あたりまえの南部の常識、男尊女卑、アイルランド系への視線、そして人種差別。特に大きなお屋敷に属しているからと貧しい白人を蔑む奴隷の視線。被差別者がそうして差別意識を内化させられてしまう抑圧構造の描き方が鋭い。1巻はタラでの少女時代の終わりまで。◇スカーレットのキャラづくり上手すぎ、ほんとうに魅力的。そうか、得意科目は数学だったのか、なるほどなあ。◇レットはこんなに早くに出てたんだな、いやあ、この時点で二人シルシついちゃってるじゃん。
2019/02/07
ヘラジカ
この小説に関しては幸いにも映像化されたものも観ていなかったので、良い意味で物語の意外性に驚いた。序盤は筋書よりも南部と北部の価値観や文化の違いなど、歴史的な側面に興味を覚えながら読んでいたが、後半に入ってから俄然スカーレットに感情移入して読みこんでしまった。当たり前だが有名古典作品なだけあって文句なしの面白さ。主人公が時代の荒波に揉まれるスケールの大きな小説って堪らないな。残りも大事に読んでいこうと思う。
2016/04/10
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