風と共に去りぬ(二) (岩波文庫)
風と共に去りぬ(二) (岩波文庫) / 感想・レビュー
Mijas
第2巻も解説に惹かれて再読。表紙の綿花畑の写真もいい。解説のタイトルは「マミー現象とアセクシュアリティ(非性化)」で、奴隷制度に関する考察。マミーと言うと、私の中では宝塚歌劇で観たマミー役のインパクトが強いのだが、解説を読んだ後に触れた作品の中のマミーもまた存在感が大きかった。なお、マミーが「まったくのアフリカ人」であることが重要らしく、『アンクル・トムの小屋』含め、アマルガメイションの現実、それが引き起こすパッシングの問題など、解説をヒントに、今まで考えたことがなかった視点で作品を読むことができた。
2015/11/11
さゆゆ
アトランタ陥落前のスカーレットは、エレンの影響がまだ残っており優しい。二巻をじっくり読むと、レットが最後までスカーレットを手に入れることができないのは、レット自身の問題であるように感じる。ボニーに対してもそうだが、レットの愛情は甘やかすことに重点を置きすぎる。これは真実の愛なんだろうか。ロリコン気質なのではなかろうかと、心配。小さい頃はアシュリーは神聖なものと感じていたが、メラニーを愛しスカーレットに恋をしているのは明らかだ。
2017/07/02
ヘラジカ
二巻での盛り上がりどころはやはりバトラーとの再会。旧弊な風習を打ち破り、スカーレットを言葉巧みに引き揚げようとする姿には惚れ惚れとしてしまった。優雅で知的で金持ち、そして何よりもアウトローなバトラー。男が憧れる要素満点。男性が読んだら恋愛小説じゃなくてヒーローものだな、なんて考えたりするくらいの格好良さ。勿論スカーレットの華やいだ利己心も同じくらい魅力的なのだけど。戦争の行く末と共に二人の人生がどう交わっていくのか、ここから更に面白くなっていきそうで大変楽しみである。
2016/04/10
きいち
スカーレットの気持ちのアップダウンの幅に合わせ一気に物語に引き込まれる二巻。寡婦として出席の許されぬパーティに戦時の大義を盾に出席したことから、スカーレットの世界が始まる。レットの行動が必然に見える。◇この時のアトランタで、南部の敗北などレットを除き誰も想像してはいない。ゲティスバーグの後も。「アドルフに告ぐ」の神戸って、こんな感じだったな。この作品を愛する日本人が多いのも当たり前だ。◇荒の二巻の解説はマミーの造形に見るアメリカ文化での黒人の表象について。さすが真骨頂、割り切れない状況を丁寧に解き明かす。
2019/02/09
みつ
アトランタへ向かったスカーレットは、相変わらずアシュリーを愛し続け、時には妄想することも。レット・バトラーが再登場し、南部連合の「大義」に冷や水を浴びせつつも、戦争で儲けることにはおさおさ怠りなく、その一方で女性たちには親切。貴金属の供出を「自発的に求め」(何か変な表現。「自粛要請」みたい?)だけでなく、ダンスの相手に選ばれる「権利」を戦費のために寄付するなど、戦時色が一挙に強まってゆく。ここにきてレットを擁護するメラニーの存在も強まる。解説では、南部の奴隷制度と人種混血の問題が詳しく説明される。➡️
2022/09/23
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