イタリア紀行(上) (岩波文庫 赤405-9)
イタリア紀行(上) (岩波文庫 赤405-9) / 感想・レビュー
lily
ゲーテでさえ本でも絵でも与えてくれない感覚的印象が大事な時期があった。一瞬も時間を無駄にしたことがないと自負した。旅での非日常の殆どは移動時間であって、着いてしまえば観る、食べる、休息の頻度と濃度が増すくらいで、寧ろ変化には乏しいのだよ。それでこそ都会にいればもっと密度を高められるもの。
2021/05/01
Gotoran
ゲーテ37歳の時イタリアを旅行する(1786-88年)。その後28年を経て当時の書簡や日記をもとにしてイタリアで触れた古代美術や自然、宗教、人々の生活等を鋭い観察を介して自身の心の成長を記した作品(上・中・下、全3巻)。本書(上巻)はスイスから北イタリアに入り、ヴェローナ、ヴェネツイアなどを経てローマに至るまで。ヴェネツイア、ローマでのルネサンス期の絵画や寺院、古代建築物や石像の記述、道すがら見える産地の鉱物の詳述など、ゲーテならではの記述が垣間見られ興味深かった。引き続き、中巻へ。
2019/04/10
イプシロン
ルソーの『エミール』を読んで旅をする目的とは、自然や人間を知り己の見分を肥やし、我れとわが友の人生を豊穣とするためであることを知り、衝撃を受けた。そしてこの『イタリア紀行』でゲーテはルソーが言及した目的を果たしている姿を目の当たりにして感銘を受けた。またゲ-テにあってもトーマス・マンの『トニオ・クレーゲル』にあるような世俗生活における人と人の関わりと、個人の内面における芸術的精神の調和をいかにすべきかに腐心していたのだと知った。その腐心を癒す処方箋はきっと諧謔であり作品を創りだすことなのだろう。
2018/02/07
会津の斎藤
憧れだったイタリアの旅。紀行文は文学と違い その人となりが分かり親しみやすい。 しかもあのゲーテが身近に感じるなんて。 テレビも車も携帯も無い時代の旅の情景も 広がりました。続きが楽しみ。
2021/07/28
さきん
ゲーテのイタリア紀行。アルプスを越えてイタリアのローマまで。地質や植物、絵と歌劇、彫刻に興味を持っていて、イタリアの古代文化に憧れを抱くドイツ人といった印象を受けた。知識を持って、ドイツのイタリアに比べれば貧しい文化性をカバーしようとしているのか、知識自慢も多かった。イタリアに行く前のイメージは、ゲーテの父が持って帰ってきた銅板画と土産話に限られていて、海も初めてのようだった。ローマとヴェネチアに関する記述がやはり多い。ローマにはすでに土産物屋が充実していたことなど民俗的視点からも貴重な資料になると思った
2016/10/17
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