ホフマン短篇集 (岩波文庫 赤 414-2)
ホフマン短篇集 (岩波文庫 赤 414-2) / 感想・レビュー
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
クララ突き落としたい夜にウグイスは最期の声音で森を響かせ地に落ちた。月がすべてを見てわらったように見えたね、オリンピア。遠眼鏡でマヨヒガの扉を叩いた先導するはトールベルン、地底には紫の星々が永遠にまたたき輝く女神は手に手をとって宝石の散りばめられたゴブレットに馨しい美酒を注いでくれるだろう、もはや未練など。さようならガブリエレ、あなたの愛しい赤子は私がいただいていきますね。
2020/04/21
スプーン
(「砂男」のみレビュー)メタリカの影響で読んでみた短編。悪夢のような世界観。奇妙な登場人物たち。まさしく狂気の砂男!
2020/08/19
Aoyama Satsuko
特に面白かったのが「砂男」。主人公はコッポラから望遠鏡を買い、それを通しオリンピアを覗き見てしまうことで彼は狂ってしまう。最後の塔に登り、主人公が錯乱し暴れ狂い、ついには墜落死するシーンは自分の中では強烈に印象に残っています。色眼鏡等、ガラス細工には人の世界を変えてしまうモチーフがありますが、この篇でもそうであり、不思議な力があるとしみじみ感じました。
2019/03/06
Aminadab
「砂男」さえ未読だった自分にびっくり。もひとつびっくりしたのは1810年代の作にしては超絶的にモダン。ポーより20年早いのに「クレスペル顧問官」以下謎解きエンタメ小説の形式が整っているし、「砂男」「廃屋」の精神医学や催眠術への関心も新しい。バレエ「コッペリア」、オペラ「ホフマン物語」などドイツ国外での舞台化が多いのもうなずける。巻末の絶筆「隅の窓」のベルリンの市場のスケッチなんてホームズものの冒頭みたいだし、ナポレオン戦争の大試練を経て少しはヨーロッパの都会っぽくなってきたという述懐にもつい涙腺が緩む。
2023/10/04
きりぱい
砂男が来るよ、と寝ない子供に言ってきかせるのに使われる「砂男」。砂男を怖がるナタニエルが、その正体を一人見抜いて主張しているようでありながら、正気と狂気の境目を越えてゆくところが怖い。執心の相手オリンピアの秘密にはびっくりで、ラストも冷やっとする。「平穏な日常の秩序をふみはずして、我知らず夢想の世界へふみこんでゆく主人公たち」という選なのだけれど、「隅の窓」以外は、恋慕がからんで悲しい結末になるものばかりで、なぜか望遠鏡やオペラグラスで美女を覗き見るという描写が多い。結末で「ファールンの鉱山」が好み。
2012/07/16
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