パサージュ論 ((二)) (岩波文庫 赤 463-4)
パサージュ論 ((二)) (岩波文庫 赤 463-4) / 感想・レビュー
壱萬参仟縁
蒐集において決定的なことは、事物が本来の機能から切り離され、同じような事物と、緊密に関係するようになること(17頁)。蒐集家は、たがいに共属しあうものを1つにする(35頁)。Comfortの語源は慰め(傍点)consolationを意味した(75頁)。アメニティも快適さを意味するが、愛が原点だった。類語の概念を広げていきたい。ポルシェはボードレールは生涯、御曹司気質のままだったと指摘(221頁)。想像力(イマジナシオン)は事物同士の内面的かつ密かな関係と、照応と、類似を感知する神的能力(238頁)。
2021/10/08
ころこ
ボードレール論が占める。『パリの憂鬱』は「孤独な散歩者」、『悪の華』は「冥府」の構想だった。パサージュ論に相応しいが、今さらボードレールかとも思う。とにかく本書は読み易い。ボードレールとポーやユゴーとの比較は興味深く、ベンヤミンのボードレールに対する視線に(直接的には)普遍性は無く、知ではあるが哲学ではない。「ボードレールが後期ラテン文学に感じた親近感は、中世初期に初めて花開いたアレゴリー的なものへの彼の情熱とおそらく関係がある。」アフォリズムでもない断片の積み重ねは、論理とは異なる方法で形式化している。
2023/07/28
やまだてつひと
大半がボードレールの内容で占められている。 ボードレールについての知識がなかったのであまり理解が出来なかった。ただ、解説部分に書かれていた倦怠とパサージュとアウラは根底は同じという事を理解したらベンヤミンの言いたいことは理解できるのではないかと思う。遊歩者であったり、寓意家 や沈思家という気になる単語はボードレールの章に散りばめれていたので、そのことについても考えていきたい。寓意家や沈思家は外から見たら変わらないと言うような記述があったが、その認識の齟齬が苦しみの原因の一つだと言うのは自分の経験から分かる
2024/07/14
ターさん
本書は「ボードレール」で占められていた。ベンヤミンはこの『パサージュ論』に何故これだけの量の断片を〈蒐集〉したのか。友人によると、ボードレールは突出した存在だったと。西洋文学の連綿と繋がる詩人の中にあって、キリスト教、叙事、田園、農耕、自然…ではない、「悪」の中に「美」を見る。ヴェルレーヌやランボーも及ばない存在感だったのか。パリを「猫のように神経質に音も立てず」[J1a,3]遊歩し、「醜いものに対していつも礼儀正しい」[J10a,3]この機会に『パリの憂愁』と『悪の華』を読むことができたのは収穫だった。
2022/04/02
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