パサージュ論 ((四)) (岩波文庫 赤 463-6)
パサージュ論 ((四)) (岩波文庫 赤 463-6) / 感想・レビュー
ころこ
本巻はうって変わって社会主義者たちに対する言及が続く。マルクスは比較にならないほど有名だが、それよりもはるかに知られていないサン=シモン、フーリエを対置させることになる。マルクスの評価が絶対でなくなった現在はそう読む。「サン=シモンとマルクスの間にある注目すべき相違点。サン=シモンは搾取される者の数を可能な限り多く算定している上に、ここに企業家も含めている。」マルクスから空想的社会主義者として批判されたことで不当に下げられた評価だが、彼らこそ社会主義のオルタナティブとしての可能性が見直されないだろうか。
2023/08/09
壱萬参仟縁
サン=シモン主義は大工業の精神と大工事の実行にはずみをつけ、理想を提供する(17頁)。煙草は、下級の人々しか行かないエスタミネ〔居酒屋〕だけで吸われていた(18頁)。真正社会主義は大衆文学常套句を、愛による人類解放を唱え、悪趣味な安文学と愛の誇張に。典型がカール・グリューン(29頁)。服地の下絵師は、貧民救済の慈善事務所に登録している(50頁)。コレラが流行したとき、人々は感染の原因を酒屋のせいにした(81頁)。
2021/10/08
ターさん
第4巻である。この時代イギリスほどではないにせよ、フランスでも資本主義が台頭してくる。それに伴いプロレタリアが形成されていく。Uサン=シモン、Wフーリエ、Xマルクスが登場する。中でも、フーリエの思想は信じ難いものである。この「紛れもない幻覚であった」[W6a,7]思想が、その時代に認知されていたことが不思議でならない。a社会運動が、必然的な大きなうねりあったということなのか。それにしても、マルクスの重厚な思想には今さらながら驚く。それでも「資本主義はけっして自然には死滅しないだろう」[X11a,3]
2022/08/19
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