赤と黒 上 (岩波文庫 赤 526-3)
赤と黒 上 (岩波文庫 赤 526-3) / 感想・レビュー
絹恵
(別訳で再読)戯れを持て余した瞬間から、本気になる。その顔が見たくて、その声を聴きたくて、その温度に触れたくて、そしてその意味を知りたくて、溺れていく。それはあなたを一つ知るたびに、私を一つ見失っていくよう。そんな行為の判断に対する正しさは、やはりあなたのなかにあるのだろう。自惚れと恍惚をこの熱で燃やし尽くすまで。(PSYCHO-PASS監視官 狡噛慎也4巻より鴇峰季國の本棚から及び1期13話より狡噛)
2017/11/23
つーこ
若い時の野心は美しきものでしょうか。喜ばれることでしょうか。現代の日本人にはあまりないガツガツとした『やってやるぜ!』感が、主人公のジュリアンにはありすぎて危なっかしくて、ドキドキしました。持てる頭脳と美貌をフル活動しのし上がっていく彼は一体何を目指しているのか。後半が楽しみです。
2018/06/26
さっとる◎
海外+古典+純文学+長編=身構える(-"-;) ということで身構えてましたが面白いですこれ。 木こりの家に生まれ貧しいながら頭脳明晰でナポレオンを崇拝するジュリアン。1830年代の200年近く昔のフランスが舞台なので感覚的にわからない点も多々あるけれども。それでもジュリアンの真っ直ぐさが胸に刺さる。魂は芸術家でありながら階級を憎み、野心を持って立身出世を謀る。そうやって生きるにはジュリアンの魂は清廉すぎるのでは。ということで下巻へ。梯子で忍び込むシーンはドキドキ(笑)
2015/05/17
速水こもみち
登場人物の思惑がすれ違い交錯し…、物語なり出来事の成り立ちは必ずしもきれいに組み上がるものではない。一人一人違うベクトルなのにそれでも社会は成り立っている。そんなことを考えてしまった。
2015/12/08
kthyk
スタンダール小説の面白さは、ヨーロッパ近代の幕開けという、歴史的にも人間の内面的にも、最も微妙な時代を背景としたところにある。その大半はナポレオンの登場と敗戦。この物語はワーテルローにおける敗戦から7月革命までの間、旧態の上流社会の中で生きようとする樵の息子ジュリアン・ソレルの挌闘を描いている。フランス革命から40年余り、ヨーロッパの近代がようやっとカタチを見せ始めるこの時期、スタンダールは最初の近代人をどのようにイメージしたのだろうか。
2020/12/23
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