パルムの僧院 上 (岩波文庫 赤 526-5)
パルムの僧院 上 (岩波文庫 赤 526-5) / 感想・レビュー
ベイス
ナポレオンに理想を見いだし、みずみずしい感性でワーテルローへと馳せ参じるファブリス。無垢な彼を手助けしてやる女とのやりとりが特に印象的。後半に再登場を期待も、出てきませんでした。思えばこの参戦が、彼のその後の人生を縛り付けることになるわけで、なんともやるせない。貴族階級が体現する崇高な生き様は、封建制度が生んだ美徳のひとつなのだろうか。今ではすっかりお目にかかれない高貴な人間性に惚れ惚れする。
2023/01/16
Major
多様な恋愛関係における人間心理の微妙な綾、階級社会がもたらす人間関係の陰影、戦争・政争の絶えない時代背景の中で所有欲、金銭欲、権力欲といった人間のエゴが辛辣に綴られている。これを数十ページ読んできて、すぐに頭に浮かんだのが「戦争と平和」だった。『戦争と平和』においても、このナポレオン戦争(ロシア遠征)を時代背景にして、上流社会における人生の諸相といったものが丹念に描かれている。『パルムの僧院』もトルストイの「戦争と平和」にも似た、一大叙事詩のように物語は展開していくが、トルストイほど時の流れや人の生死を
2020/05/05
Vakira
初スタンダール。「赤と黒」ではなしに、岩波文庫の表紙の粗筋を読んで読みたくなった。「優雅で美しく無垢な青年ファブリス。ナポレオン崇拝のあまりワァテルローの戦いにて飛び出していく。彼の衝撃的行動から物語は始まり波瀾万丈の展開をみせる」とある。まんまと乗せられた。この青年、美しいのは認めるが無知で無鉄砲、他人の迷惑は気にしない。ちょっと僕は感情移入出来ないのだが・・・ジッドは「これまでにない最も偉大なるフランス小説」と評したらしい。敢えて共感の湧かない主人公を創造したところがスタンダールの凄い処かも。以下下巻
2016/08/07
スプーン
世俗に振りまわされ、心の清濁を上下する主人公。 となると、下巻では改心へと向かうのだろうか?楽しみである。 ジェラール・フィリップ主演の映画版とは、主題も視点も異なる。
2020/06/21
中玉ケビン砂糖
下巻へ
2016/07/31
感想・レビューをもっと見る