パルムの僧院 下 改訂 (岩波文庫 赤 526-6)
パルムの僧院 下 改訂 (岩波文庫 赤 526-6) / 感想・レビュー
まふ
ファブリスは殺人の廉で捕らわれ城に留置される。拘禁中城砦司令官の娘クレリアとの塔の窓越しの恋愛も生まれる。死刑の危機、毒殺の恐怖の中、ファブリスは辛うじて脱出に成功するが、また捕まってしまう。最後は毒殺の危機を辛くも回避して公爵夫人が助け出すものの、公爵夫人も行きがかり上パルマ公国を飛び出さざるを得ない…。下巻での主役はサンセヴェリナ公爵夫人だ。他にモスカ伯爵、大公、忠臣ロドヴィゴ、成り上がりのラッシ、詩人のフェランテ・パラなども個性豊かに活躍する。まさに名作の名にふさわしい一篇だ。G1000。
2023/11/09
ベイス
クレリアの心の声(あたし自分の夫を救うのだ)と、ファブリスを前にしての「あんた食べた?」が最高すぎた。現代の価値観からするとあまりにも禁欲的でじれったいことこの上ないが、だからこそこの名シーンにたどり着けるわけで。あまりに良すぎてそのあとは正直蛇足に思えてしまう。どうにも救いのない終わり方はなかったことにしよう。
2023/01/21
Major
上巻と下巻でこれほどイメージが変わってくる小説も珍しいのではないか。上巻ではワーテルローの戦いという大きな歴史の舞台装置があって、その当時の社会的背景を淡々と写し取りながら、そのことと対照的に、饒舌で賑わしい貴族社会における人間関係の綾と政治的な策謀・欺瞞を冷ややかに描こうとするリアリズムを観ることができた。そして、その中で無垢で世間知らずの貴公子ファブリスが、この歴史的舞台装置と策謀と欺瞞に満ちた貴族社会のうちに揉まれて一歩一歩成長していく姿が描かれていたように思う。
2020/05/05
スプーン
このイタリアの牢屋から見えてくるのは、 恋が恋人たちにもたらす無限の幸福感と、政争の滑稽さである。 そして、そのどちらも、主役は常に女性であるという真理。 恋も政治も手中にしているのは男ではない。女である。
2020/07/27
Vakira
フランス人作家によるイタリア貴族の恋愛物語。貴族の青年と叔母の色恋沙汰に一国の大公、首相が巻き込まれ、翻弄され、こんなんで国を治めていいの?青年貴族の脱走を防げなかった罪で数人の看守が処刑される。この世界はあまり気持ちの良いものではない。現代では考えられない。最後の数ページで思わぬ展開。ファブリス君ちゃっかりやることやっているじゃん ファブリス君のエッチ。今までの長い物語はなんだったの?まぁ 初スタンダールという事でスタンダールの一つの作品を知った。と言う程度かな。
2016/09/01
感想・レビューをもっと見る