カストロの尼 他二篇 (岩波文庫 赤 526-7)
カストロの尼 他二篇 (岩波文庫 赤 526-7) / 感想・レビュー
kthyk
恋愛には4種の型があり7つの過程があると言うが、スタンダールのメインの恋はいつも情熱的であり、「ザルツブルグの小枝」の結晶。しかし、彼の時代のオペラに似て、大半は悲劇として描かれる。「カストロの尼」はオペラ好きには馴染みやすい。時代は「ドン・ジョヴァンニ」の100年後、「ドン・カルロ」とは同じ、ルネサンス終焉期の16世紀後半。舞台はイタリア、スペイン、フランドル。19世紀初頭、ナポレオンのイタリア遠征に参加し、そのまま、イタリアに残り、そこで見つけた訳本がどうやらこの「カストロの尼」の原本のようだ。
2021/01/26
umeko
身分違いの恋物語。恋物語より、エーレナの母が凄かった。「箱と亡霊」が良かった。
2010/08/09
ville
バルザックとかは箱の中の小世界が現実に似すぎていてリアリズムなんだけど、スタンダールは箱の中を覗いたり弄ったりする作者の想いが文にあって、それがリアリズムだな、と思った。
2010/05/22
あにこ
なんと読みづらい文章か、とはじめ思った。が、段々この言い回しが癖になってくる。古風な調子が一周まわってお間抜けに思える場面も少なくないが、それが物語に一層の哀切を添える。大マジメに恋愛して、大マジメに命を賭けたのである。スタンダールならずとも、心打たれよう。/ スタンダールは、登場人物たちのほとばしる血気をそのままに、半ナマの状態で物語の枠に急いではめ込んだ。作品そのものが、いつどこに跳びはね暴れ回るか分からない危うさを孕んでいる。そんな印象である。
2019/02/18
悸村成一
3編収録。情熱をめぐる奇談の一種か。 99
2015/05/30
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