パリュウド (岩波文庫 赤 559-0)
パリュウド (岩波文庫 赤 559-0) / 感想・レビュー
クプクプ
アンドレ・ジイド26才の時の日記体小説。風刺。小林秀雄さんの翻訳です。昔の仮名使いで、わからない漢字も多く、読むのに苦労しましたが、かえって想像力が刺激されてよかったです。ジイドは繊細なようで力強く、20代という青春時代の豊な感受性を持ち、社会に対する「反抗」を美しい文章で見事に残しました。フランスの自然と、そこに生きる人々の暮らしを生き生きと書きました。フランスに行ったことがない私にも、物語のよさが伝わりました。初めて岩波文庫の本を探しました。活版でしたが、読みにくさはなかったです。
2017/07/16
hmpndrf
強度の反省性は書き付けた句を側から我慢ならなくさせるものだから、小説家を極めると小説を書かない小説家に行き着くとはドイツロマン派から中島敦を経て水嶋ヒロに至るまで古今東西変わらないけど、因果なことに世には小説を書かない小説家を書く小説家というのがいて、日本だと小林秀雄のおかげを被ってヴァレリーとかこのジッドとかが有名とされていると思う。で、これはそのジッドの小説を書かない小説家の小説なんだけど、訳者が、はい、小林秀雄でして、口先だけは標準語な江戸っ子がべらべらと世の中を呪って廻る大変愉快な仕上がりです。
2013/03/10
sober
「パリュウドを書くのだ!」と息巻く主人公だが、一向に進む気配を見せず、果たして放り投げてピリオドへ。物語の展開に終始ついてまわる自意識過剰は、若さを象徴するものであろう。これは青春小説なのだと思う。ジッドに対しては、「狭き門」に代表されるしかつめらしい小説を書く印象を持っていたが、「パリュウド」のような作品が他にあれば読んでみたいと思った。
2013/03/23
ダイキ
小林秀雄訳。「重要な事は、この作が、諷刺文学の極限を示してゐるところにはない。又、恐らく、これが、現代知性の典型的な自己暴露だといふところにもない。彼が逃げるために、断乎として背後を振り返つてゐるところにある。その身振だけが美しい。この精妙な解説は、読者に決して逃げ道を教へてゐない。救はれてゐるのは、ただ作者だけだ。だからこそ、読者は、この作を読んで、めいめいの裡に『パリュウド』の欠片を発見出来るのである。」〈パリュウドについて/小林秀雄〉
2016/12/24
さく
最重要句表に何を記き足すか、「思想は大きくなつて、自分は小さくならなくてはならない」
2014/03/25
感想・レビューをもっと見る