罪と罰 下 (岩波文庫 赤 613-7)
罪と罰 下 (岩波文庫 赤 613-7) / 感想・レビュー
nobby
人は誰しも過ちを犯す…そして人道・規範・法律に照らし合わせられた結果から、罪を贖うため罰を受けるとされる。ただ、『罪と罰』双方とも解釈の仕方は様々だ…世俗の大半による基準で定めても、本人に響かなければ意味がない葛藤…自らの誇りあるいは蔑み、周囲からの過剰または皆無な期待や愛情故に自覚に至らない価値観は悲劇だ…それを最終的に支えるであろう家族・友人らによる愛という存在も、そこに辿り着くかは本人の生き様に起因とはまさに無限ループ…少なくとも僕は、今当たり前に感じている日常を楽しみつつ凡人として生きていきたい…
2020/08/16
aika
この結末を選んだ荒くれ者のドストエフスキーは、人間の可能性を信じた、慈愛に溢れた人だと思いました。自身に根っこがないために、世俗の易しい流行りに呑み込まれる薄弱さと、たとえ身を落としたとしても、自身の罪に向き合い、支えとなるひとに導かれ、真の人間性に目覚めて救われていく。初めて読んだときには、ラスコーリニコフの病的な猟奇さばかりが目に留まりましたが、ラスコーリニコフを支えるドゥーニャとソーニャの、神聖なまでの純真さと、どのような屈辱にも耐え抜く力強さに、心を突き動かされます。女性がもつ特性が印象的です。
2017/12/07
かごむし
あの「罪と罰」を読んだぞー。と、いう達成感はある。学生の頃から、何度挑戦してもくそつまらないなと思っていた「罪と罰」が今読むと最高に面白い作品だった。エンターテイメントとしても十分面白いのに、読み終わってみればとても大きな物語である。「罪と罰」には主題があり思想があり哲学がある。そして、そのロジカルなものからはみでてしまう人間の情念、不合理、そこから生まれる信仰がある。会話劇のように進む濃厚な物語を読み終わったあとには、誰しも雄弁に語りたくなるのではないだろうか。偉大な作品であった。読んで本当によかった。
2019/09/30
たか
全3巻。有神論と無神論の対決や、貧困に喘ぐ民衆、社会主義思想への批判など、普遍的かつ哲学的なテーマを扱った非常に重厚な作品。 主人公ラスコーリニコフと、彼が犯した老婆殺しの事件を追及する予審判事ポルフィーリィとの論戦や、ラスコーリニコフの罪の意識が増長し、苦悩する様が見もの。C評価
2018/02/02
SOHSA
《購入本》ついに下巻読了。ポルフィーリイとの対決、ソーニャへの告白、スヴィドリガイロフの自殺、そして警察への出頭と自白。物語はめまぐるしく変転し動いていく。それはラスコーリニコフの心理の変遷のように。幾重にも渦巻き流れていった物語もやがて服役生活の中で安寧と将来への希望を見出す。結局、ラスコーリニコフは老婆殺しの意味を最後まで信じきれていたのか。信じきれた上で踏み越すことができなかったのか。それともソーニャとの最終的な幸福を得るための不可避な手段であったのか。「彼は、新しい生活がけっしてただで手に(→)
2015/10/04
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