未成年 上 (岩波文庫 赤 614-6)
未成年 上 (岩波文庫 赤 614-6) / 感想・レビュー
Pustota
全体的に見て他のドストエフスキーの長編と比べて確かに地味だが、深みを感じる不思議な作品。生まれに強いコンプレックスを持つ未成年の主人公。理想を掲げながらも未熟で青臭いが、ナイーブで純なところもありどこか憎めない。語りはそんな若かりし自分を振り返り語るような距離もあり、その温度感が絶妙。展開も目立った事件はあまり起こらないが、裏で様々な思惑が交錯する不穏な気配を感じる。重要人物である主人公の「父親」も謎めいた人物で興味を掻き立てられる。
2023/11/14
tieckP(ティークP)
おもしろくて驚いている。ドストエフスキーは他の五大長編をずいぶん前に読んでいて、評価の劣るこれだけ読んでいなかった。その間にドストエフスキーを読むのに必要な知識が身についたのもある。一人称で、青臭い理想に行動が伴わない若者の語りをリアルに描き、かつこの規模の話を展開できるのだな、とあらためてドストエフスキーの技量に魅せられた。工藤精一郎の新潮訳と比較しながら読んだけど、新潮の方がページは見やすいし、分かりやすい訳語を選んでるけれど、調子や統一感は圧倒的に米川が上回っている。その米川の実力にもうならされた。
2013/07/30
takeakisky
期待する凶暴なうねりはおとづれない。重要さが今ひとつ見えない事柄が淡々とも思える書かれ方で徒然と続く。上滑りする理想。アルカージイのあまり好ましいと思えない青臭さで首筋にむづむづした感じをおぼえながら読み進む。作者も不器用な感じに右に左に動かす。アルカージイの人に対する評価は毎度上書きされ、うんざり感をいや増しに増す。言うことと考えと行動の食い違いぶりは、織り込み済みではあるが、400頁付き合って主人公に寄せる感情としては、今のところ「軽蔑」が一番近い。まあ、長い長い長い前置きだと思って先へ進む。
2023/12/17
trash
長いわりにはあんまり印象に残らなかったけど、ところどころの台詞は身にしみるものがある。理想の話と商人の話はすごい好き。まぁごちゃごちゃしているだけで、何かもう一つ物足りないという感じがしなくもない…。
2010/02/22
astrokt2
未レビュー
2009/05/29
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