未成年 中 (岩波文庫 赤 614-7)
未成年 中 (岩波文庫 赤 614-7) / 感想・レビュー
Pustota
これまで水面下で進んでいた様々な事態が明らかになる。こじれた状況の中で、主人公は頼みにしていた「理想」の虚しさに気づき、生き方の拠り所を失う。若さゆえの精神的危機。彼の愚かさや哀れさの中に、時折自分の「若さゆえの過ち」の影を見るようで苦々しくなる。一方で距離が近づきながらもまだ謎が多いヴェルシーロフは、意志の弱さからくる逆説的な強さについて語っている。友人の公爵ははっきり言ってクズだが、最後には潔く決断を下す。仰々しい議論は出てこないが、生き方について考えさせられる言葉が散りばめられている。
2023/11/25
アリョーシャ
前半はアルカージイの青臭さが鼻についたが、後半は彼の中にも光るものが見えてきた。とりわけ、中巻の最終章の「雪中の幻」は良い。クライマックスに向けて物語が動き始めた。
2020/10/18
tieckP(ティークP)
第2部は、周りの反応から何か主人公が気づかぬことが進行していることがほのめかされ、そして突然に明かされる部である。その予感のさせ方が実にうまくて、明かされる場面まではぼんやりとしか予測が付かないのに、明かされれば読み返すまでもなく、それが主題だったのだと分かる。米川訳と工藤訳だとやっぱり後者はごくたまに「てにをは」がおかしい。それから前者の方が登場人物のセリフの特徴付けが巧み。ただ、これぐらい話が盛り上がってくるとあまり気にならなくなってくる。翻訳の良しあしを超えた作家の力量を感じた。
2013/08/01
takeakisky
徐々にアルカージイにも慣れてくるのだからおそろしい。周囲の人物に描写の焦点があたることが多くなったからだろうか。アルカージイだけが知らないこと。知らされなくても仕方ないかと思うこと。二六時中感情に溺れながらそれを意識することもなく生きること。持っていないのに持っている者と持っているのに持っていない者。いくつものねじれ、袋小路みたいなテーマ。そして賢い女性たち。こんなぐにゃぐにゃしていて出口はあるのか、私がドストエフスキーなら中途で投げ出すよ。第二編の終章、雪中の幻ではっとさせられ、終盤が実に楽しみになる。
2023/12/20
astrokt2
未レビュー
2009/05/29
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