ロボット(R.U.R) (岩波文庫 赤 774-2)
ロボット(R.U.R) (岩波文庫 赤 774-2) / 感想・レビュー
absinthe
ロボットが人間にとって代わって世界を手に入れてしまうお話。類似の話が繰り返し作られているが、ロボット反乱ものの話はほとんどがこれのリメイクと言っても過言ではないほど良くできた話。でも、作者は人工知能がこの世を支配する危険を書こうとしたわけではないらしい。時間に縛られ自由を奪われた当時の労働者の姿がロボットに見えた。ロボットに支配された世界は、働く権利を行使しているというよりも働く義務だけが与えられた当時の人々の隠喩でもあった。
ehirano1
今となってはおっそろしくシニカルなのにブラックユーモアが満載で読中もう何度苦笑したことか。著者と友達になれたら楽しかったかもしれないと斜め上の感想を抱きました。そして、理性や合理性の内在的理論を改めて思い知らされます。
2022/09/20
のっち♬
1920年発刊にして"ロボット"の語源となったSF戯曲。人間が苦痛を伴う仕事をロボット(人造人間のようなもの)に代行させ社会に大変革が起きる。導入で企業は淘汰され、ロボットは人間より優秀になり、子供は産まれなくなるなど、現代日本も見につまされる予見が盛り込まれた古典。人間と機械の構図が逆転するこの"地上の楽園"で浮上する、労働や幸福の本質を問う命題は普遍的。造形の高邁さがユーモアとアイロニーを上質に結節させている。ベタな"愛による解決"は半ば苦し紛れで、著者自身こんな巻き返しが効く楽観は持っていなさそう。
2024/06/16
NAO
最初人間が自分たちの利益のために利用していた者が、徐々に知恵をつけ、ついに自分たちの支配者である人間に逆らう。こういった展開は、『山椒魚戦争』とよく似ている。だが、話はそこで終わらない。ロボットたちもまた、自分たちのことだけを考えた狭い考えで、結局は自分の首を絞めることになる。百年前に書かれたとはとても思えない古さを感じさせないチャペックの戯曲は、近未来の予言書のようだ。
2017/12/10
財布にジャック
チェコに行こうと観光ガイドを読んでいて、初めて知ったカレル・チャペックさんですが、チェコでは超有名な作家さんなんですね。ロボットの語源ともなったこの作品は、1920年に書かれたのに、今読んでも充分に楽しめました。ところどころにある写真や絵が、ドキッとします。なんともシュールな雰囲気で、内容も考えさせられる内容です。あと100年後いや200年後に読んだらどんな感想になるのかと、想像してぞっとしました。
2013/06/22
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