実践論,矛盾論 (岩波文庫 青 231-1)
実践論,矛盾論 (岩波文庫 青 231-1) / 感想・レビュー
らい
『法華経を生きる』に関連して。実践論と矛盾論が説かれるが、特に「実践論」の方が共鳴した。感覚を通した認識から始まり、実践を繰り返す中で、対象の本質に迫れるし、理論を構築することもでき、正しい認識に到ることが出来ると。そして、現実を構成する要素は刻一刻と変わっていくのだから、一度の成功に安穏してしまったら、その認識も古びたものになり、頑固な思想になってしまうと。「矛盾論」も良かったのだけど、この世には矛盾があり続けるというなら、なぜ共産革命でその矛盾が無くなると思ったのだろうか。
2022/03/29
荒野の狼
「世界の大思想(河出書房)」では「実践論」「矛盾論」で重要なことは、毛沢東が弁証法的哲学を具体的実践のなかに応用し、実践を通じて学び発展させるという観点を確立したこと(「弁証法の活学活用」同書p416)で、当時中国では、「ここで展開されている理論にもとづいて農民が困難な問題を分析し解決の方法を見つけるという方法をとることが提唱された」としている。
2021/04/01
古川
これは哲学書ではない。神学問答に近いかもしれない。「レーニンは○○と言った。よって○○である」という物言いが続き、なぜならばレーニンは正しいからであり、なぜ正しいのかといえば、レーニンは偉大だからであり、なぜ偉大なのかといえば、正しいことを言っているからである、といった具合である。つまりはよくあるビジネス新書と変わらないのだが、経営者が哲学者である必要はないし、実際毛主席はこれで天下取っている。問題はその後、このやり方を科学含むあらゆる分野に適用したことであり、こういう悲劇が起きる可能性は中国に限らない。
2014/10/15
Yasomi Mori
毛沢東の2論文を収録。「実践論」は党内の教条主義的マルクス主義者らを批判することを意図したもので、実践を伴わない理論の虚しさを説いている。《理性的認識は感性的認識に依存し、感性的認識はさらに理性的認識にまで発達しなければならない。これが弁証法的唯物論の認識論であ》り、革命闘争のミッションは《客観的世界を改造するとともに、また自己の主観的世界をも改造し、主観的世界と客観的世界との関係を改造することである》。真理に到達するためには何度も失敗し、それを改め続けることが必要で、認識の運動が完成することはない、と。
2020/05/31
金吾
実践論は革命家・行動家の面目躍如ということを感じました。また矛盾論は、マルクスやレーニン等を完全な是とした弁証法の一例という気がして面白かったです。
2020/01/30
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