岡本一平漫画漫文集 (岩波文庫 青 564-1)
岡本一平漫画漫文集 (岩波文庫 青 564-1) / 感想・レビュー
さらば火野正平・寺
この表紙、甲子園のアルプススタンドである。アルプススタンドと名付けたのがどうやらこの漫画漫文らしい。岡本一平、岡本かの子の夫で岡本太郎の父親である。朝日新聞の記者をやっていた際に夏目漱石の知遇を得る(有名な漱石の似顔は一平によるもの)。漱石にその漫画漫文記事を絶賛されて出版される。読んでみると意外と面白くない。漱石に見る目がないのではなく、岡本一平のこの仕事に影響された人々が乗り越えていった故にますます古くなったからだろう。しかし文化人の似顔など、当時の存在感が感じられて興味深い。大正時代の一精神である。
2016/12/11
kokada_jnet
漫文のほうが面白いな。漫画はペンの線が硬いし、デフォルメもいまひとつ。当時の欧米の漫画の絵柄に影響されているようだが。墨の絵のほうが好み。
2016/05/11
Nemorální lid
岡本一平の漫画史で果たした役割の一つとして『漫画で扱うテーマの幅を広げたこと』(解説 p.165)が挙げられているが、一枚の絵に附随して書き記す簡単且つ要を得た文章を構図とした『漫画漫文』の考案は大きいだろう。現在の漫画も確実に岡本一平の影響を受けていると思う。現に彼の『漫画小説』や『ストーリー物の漫画漫文』の呈は我々が身近に感じるマンガのコマの形式に先駆けたものではなかろうか。以前はコマの外に文章を書いていた。然しやがてコマの中にセリフを収めるようになった。その狭間の世界を彼は体現しているのである。
2018/06/28
刳森伸一
人の心はあまり変わらないなぁと改めて感じました。
2012/07/14
康芳英
岡本太郎の父親って夏目漱石も絶賛した人気漫画家だったのね。初めて知った。昭和初期までの漫画と今の時代の漫画との違い、というか断絶が感じられて面白かった。
2012/04/10
感想・レビューをもっと見る