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迷宮としての世界(下)――マニエリスム美術 (岩波文庫)

迷宮としての世界(下)――マニエリスム美術 (岩波文庫)

迷宮としての世界(下)――マニエリスム美術 (岩波文庫)

作家
グスタフ・ルネ・ホッケ
種村季弘
矢川澄子
出版社
岩波書店
発売日
2011-01-15
ISBN
9784003357521
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迷宮としての世界(下)――マニエリスム美術 (岩波文庫) / 感想・レビュー

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KAZOO

上巻よりも下巻の方がとっつきやすい気はしました。経常的な観点からの作品についての話があったり、アルチンボルトについてかなり書いてあり、アルチンボルト派があるとは知りませんでした。上下巻を読んでみておぼろげながらマニエリスムというもののかたちが少しはわかる気がしました。

2016/10/13

コットン

著者の考えだとマニエリスム芸術の枠をシュールレアリスムまでと広範囲に捉えていることにまず驚くがそういう考え方も出来るだろう。そして白黒ではあるが絵がたくさんあり、理解の助けになるのも良い。

2023/11/22

A.T

ルネサンスとバロックの中間時期の徒花のように呼ばれる、儚い存在だったマニエリスム美術を新プラトン主義から派生した美学と捉え直した骨太な見解。ミケランジェロの後期作品はもとより、レオナルドの代表作「ジョコンダ」いわゆる「モナ・リザ」、そして文学作品ではシェイクスピア「ハムレット」も従来とは異なる解釈で解説される。そして時代は下り、19世紀末から20世紀初頭の超現実主義、抽象作品にも同じ流れの解釈がされる。レオナルドーミケランジェローマックス・エルンストーダリーパウル・クレー…(続く)

2023/11/18

内島菫

古典的な意味合いでのミーメーシスが、青山昌文氏のいうそれとは異なる解釈で使われていたり、現代はホッケの時代のように技術的大衆社会の唯物主義ではもはや説明がつかず、それがすでに破綻した時代になっていたりするにせよ、マニエリスムの限界にまで言及した特に最終章は示唆に富んだ内容だった。ホッケのバトンを私なりに勝手に引き継いでみたい誘惑にかられる。解説で高山宏氏がいみじくもマンガ等のマニエリスム性に触れられていて、マンガ批評そのものの立ち位置を再考させられる。

2022/09/20

NICK

表紙にも掲げられているアルチンボルドによるルドルフ二世の奇妙な肖像画。野菜と人間という一見何の関係もないような二つのものを組み合わせる手法。そこには当時のヨーロッパの危機に対して精神的な層での統一を図ろうとする流れがあった。つまり、分裂状態にあるようなものを地下、迷宮、不可視の層のイデアによって組み合わせること。危機によって現れる、魔術的統一を計らんとする精神がヨーロッパ精神の常数だというのはやはり大胆である。かなり大風呂敷めいているが、しかしそこには現代の危機を16世紀の危機から見る透徹した眼がある。

2015/06/21

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