映画とは何か(下) (岩波文庫)
映画とは何か(下) (岩波文庫) / 感想・レビュー
しゅん
下巻は個別作品への論考が多めに収録されていて、映画好きには上巻以上にグッと来るのではないか。リアリズムはあくまで作品の美学に基づくもので「本物らしさ」と混同してはいけない、という論理からネオリアリズモ映画の意義を探る論考群が素晴らしい。「現実を尊重するということは現実の外観を積み重ねていくことではなく、その反対に、現実から本質的でないものすべてを取り除くことであり、簡潔さの中で全体性に到達することなのです」。なんて蠱惑的な言葉だろう!デ・シーカについて語る時の口調は熱過ぎて泣けた。『自転車泥棒』観直そう。
2017/01/22
ラウリスタ~
上は面白かったのだが、下に収められている文章は、個別的な映画、特にアメリカの西部劇映画や、イタリアのネオレアリズモ映画について書いているため、どちらもほとんど見たことがない人からすれば興味が涌かない。そもそも、この本は、各所雑誌のために書いた細切れの文章を集めた本から、面白い章を集めたものだから、個別批評になる下が退屈なのも当然なのだが。
2015/04/22
乙郎さん
西部劇からイタリアのネオリアリズモへ。現在私たちが考える「批評」のかたちにより近づいているような印象。それはソリッドさを増したということなのか。50年代前半のイタリア映画という隆盛ーこの「時代」に則している感じがとても良かった。
2024/01/16
Happy Like a Honeybee
唯一にして真の批評家(ゴダール)下巻は更に鋭い考察。特に戦後イタリアにおける、ネオレアリズモの章は後世に語り継がれるだろう。 優れたシナリオ、映像、音響を駆使しても不朽の名作と呼ばれる映画は創造しえない。デ・シーカ「自転車泥棒」はあえて即興性を導入する事で、現代でも印象的な作品となった。 隠れた名作が市場で高騰するのは嘆かわしい。もっと普及しないと
2016/02/23
かふ
ハリウッドのカット割り(編集作業)はスペクタクルを生み出すが映画のリアリズムから離れていく。イタリアのネオリアリズモの監督たちの作品を観ながらバザンが求めた「映画とは何か」を改めて考える。
2015/11/04
感想・レビューをもっと見る