青年 (岩波文庫)
青年 (岩波文庫) / 感想・レビュー
Willie the Wildcat
『三四郎』と『青年』の考察。理想と現実。漱石を文学者として評価した上で、自身の立ち位置の明確化。主人公の上京背景の差異が、両氏の出自の差異。ヒロインの差異が、明治という時代における理想主義と現実主義という両氏の思想の差異。最後に、性的欲求と恋愛の関係性の差異が、その具現ではなかろうか。新聞という媒体を通した不特定多数の読者に向けた夢を描いた漱石に対して、実務家としての軸を文学で表現した鴎外。本著の終わり方も、決して肩ひじ張ることなく、自身の創作を楽しむべく旅立ち、という印象。
2018/12/07
まりお
その時代で生活している、生きている人達の描写が良い。そして女、主人公から見た女。何でそこまで思うのか、悩むのか。それも時代と言うものだろうか。
2017/07/29
みや
作家を志して上京した青年が未亡人に心惹かれる青春小説。「そんなに面白くないかも」と思いながら読み続けていたら、ラスト30pで俄然面白くなった。主人公の純一に田舎臭さや切羽詰まった窮屈感がなく、どこか冷静で落ち着いているのは、実家が金持ちで育ちが良いからなのか。行動や感情を毎度毎度こんな風に理屈で考えて疲れないのだろうかと思ってしまうが、悲観的ではないから鬱々とした気持ちにはならない。互いに言い合うことで隔てがなくなった純一と大村の友情も、恋の結末も爽やかで良かった。純一の成長を感じ、読後の清々しさが快い。
2021/07/09
川越読書旅団
練り歩きツアー(https://ameblo.jp/krb-2016/entry-12803999330.html) の事前準備として一読。率直に極めて面白い。明治期に書かれた作品ではあるものの、通底する価値観に大きな差異はなく、今(現代に)読んでもこんなにも楽しめる作品を上梓した鴎外先生にアッパレ。ゲーテの「ヴェルヘルム・マイスター」、トマス・マンの「魔の山」と同類の「教養小説」と位置付けられる作品であるとのこと。
2023/05/27
nakagawa
英語が結構出てきたので英語が苦手な私にとっては少し辛かった笑 でも少し英語の勉強になったような気がする。現代社会を描きたいという希望を持って東京に出た文学青年が初志に反して伝説を題材とした小説を描く決意をするまでの体験と知的成長を描いた本。
2017/06/18
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