自由への道 (1) (岩波文庫 赤 N 508-1)
自由への道 (1) (岩波文庫 赤 N 508-1) / 感想・レビュー
harass
図書館で発作的に借りる。1938年大戦前夜、パリの哲学教師マルセルは、恋人の妊娠を知り堕胎の金策に奔走する。彼を含む三人の若者の群像劇。心理や風景などの描写がなかなかに巧く、独特の自由間接話法を駆使し、黒い腹芸の描写に唸る。面白いが話のペースが遅く、この文庫は全六巻なのでまだ先は長いと思ったがどうも未完だと途中で知り、読む気が失せる。この一巻だけでいったん止める。腹を据えてまとめて読む予定ではいる。
2017/03/26
ジュン
彼の批判者たちはサルトルの西洋の知識人の優越意識を批判した。政治信条としてもソ連圏の惨状にたいして冷淡であったサルトルの行動には疑問を抱く。だが「文学は飢えた子どもに何ができるか」を問い「参加すること」を選択した彼の方が、冷めたピザのような頭のいい人達より偉いのではないか。間違えたとしてもサルトルは好きだなあ。自分が中心にならなければ何もやらない。ダサければ何もやらないというのが一番始末に悪いことを教えてくれる。
2016/01/29
壱萬参仟縁
「資本主義にたいして憤慨するのは好きだが、それがなくなってしまうと憤慨できなくなるから資本主義の根絶は望まない」(283ページ)。嫌いな対象が不在となれば、新たなターゲットを探すのかもしれないな。「人間の義務とは、自分のしたいことをすること、善いと思われるすべてを考えること、自分以外のいかなるものにたいしても責任を持たないこと、他人のあらゆる思考とあらゆる人間をつねに疑問に付すこと」(312ページ)。全てあってるとは思わないが、必要な義務は果たさないと。自分の自由は他人の不自由と思うのだが、自覚しにくい。
2013/02/04
泉を乱す
下司野郎である自己分析と、社会背景の不穏さ。
2018/10/09
コーキ
自由ってなんだろう?追えば追うほど逃げていくような気がする。責任を伴わない自由ほど逃げ足も速い。拘束された安定という傘の下の自由ほど逃げ足は遅い。でもそれは矛盾かな。もしくは逆説になるのかな。あるいはこういうのを止揚って言うのかな。よく分からない。
2015/04/18
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