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楽しみと日々 (岩波文庫)

楽しみと日々 (岩波文庫)

楽しみと日々 (岩波文庫)

作家
プルースト
岩崎力
出版社
岩波書店
発売日
2015-01-17
ISBN
9784003751305
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楽しみと日々 (岩波文庫) / 感想・レビュー

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のっち♬

20〜23歳執筆の処女作。まだ時を失うことを知らないアマチュア文学青年は瞬間の次元から複眼的で微細な観察眼を向ける。感傷とスノビズムが充満し、多彩な表現形式の統合が未洗練な仕上がりは反響皆無もむべなるかなとも思うが、『シルヴァニー子爵』で示唆される他人のような自我、『ヴィオラント』の母への熱愛、意志薄弱、純潔の喪失、習慣の力など後年扱う題材が既に数多見られ、文豪としての霊感がスノビズムなしで発生しえなかったことも伝わる。情熱の誕生から無関心という死へ向かう愛の一生を鋭敏な感受性を総動員して分析した青写真。

2023/07/06

lily

今思わず表紙のお口に接吻した!三日酔いはしそうなくらいクラクラする。あれを殆ど読んでなくてもプルーストが好きになることは98%知ってたんだからね。やっぱりね。きっとあの長編を読破した時にはプルーストが何が何でも一番なんて豪語してるに決まってるんだよ。プルーストは自問自答のキングなの。愛についての答えは殆どここにあるのかも。身体はまともに機能しなくとも頭だけは自由だった。感覚も超人の域。個人個人の放つ周波数さえも当てるんだから。

2019/07/20

夜間飛行

死を宣告されながら苦痛を見せまいとするシルヴァニー子爵は『失われた時』の祖母を思わせるが、不倫の情欲に悩むという人間的弱点をも見せる。孤独な少女が社交界で成功するにつれて背徳に染まる「ヴィオラントあるいは社交生活」や、母への裏切りを語る「若い娘の告白」は、後のヴァントゥイユ嬢へと連なるプルースト固有の課題だろうか。時のテーマこそまだ現れないが、一人の人間の中に複数の人格を見、高貴な肖像の裏に悪を背負った人の姿を描き込む所はやはりプルーストだ。人間を見る眼、芸術的意志の確かさというものを強く感じさせられた。

2016/04/19

藤月はな(灯れ松明の火)

プルーストは『失われた時を求めて』シリーズの一巻(ちくま文庫)を読んだときにその冗漫さに挫折してしまった思い出があります。そのため、短編集はいけるのだろうかと危惧しながら読みました。見栄と世間体を大事にする社交界で渦巻くスノッブ達の俗物さは滑稽。だけど大勢に群れても実は孤独でしかないという寂しさや栄華は一時のものでいつかは終わってしまうという予感が付き纏っていて少し、哀しいです。その分、何気ない生活や自然背景の描写にホッと一息つけたりできるのが救いかな。

2015/02/08

燃えつきた棒

普段なら特に何も感じなかっただろうが、現下のウクライナ危機においては、本書の書名はどうしても背徳的な色彩を帯びてしまう。 今、本書を読むのは、戦時下のパリで肉欲に耽溺するシャルリュス男爵にでもなったようなやましさを感じてしまう。 読もうか読むまいか、さんざん迷った末に手に取った。/

2022/03/21

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