都市と農村 (岩波文庫)
都市と農村 (岩波文庫) / 感想・レビュー
KAZOO
最近岩波文庫に柳田の著作が少しづつ納められています。この著作もその最新版ですが、書かれた当時のことが現在にも当てはまるような状況になっていてタイミング的にはぴったりでした。柳田がこの著作を書いた当時は農政官ということで各地の農村を廻っていたということで、フィールドワーク的な感じもします。当時農業は一番の産業であったことにもかかわらず、その従事している人々の格差が大きかったことも書かれています。「文化の中央集権」「農民離村の歴史」など現在の状況を見るかのようです。
2017/12/14
うえ
「私の想像では、衣食住の材料を自分の手で作らぬということ、すなわち土の生産から離れたという心細さが、人をにわかに不安にもまた鋭敏にもしたのではないかと思う」「本当はこのように肥料を莫大に要求する国の方が珍しいのである」「現在の共産思想の討究不足、無茶で人ばかり苦しめてしかも実現の不可能であることを、主張するだけならばどれほど勇敢であってもよいが、そのためにこの国民が久遠の歳月にわたって、村で互いに助けて辛うじて活きて来た事実までを、ウソだと言わんと欲する態度を示すことは、良心も同情もない話である」
2017/11/13
しゅう
農地改革による自作農への変化が、農村社会を大きく変えてしまったことを強く実感する。各農民が土地を持つことにより、農地は財産としての価値を持ち、土地と生業の間にあった関係が切り離されてしまった。 山野河海の入会利用は農村の大きな特徴であったが、それも解体された。都市と同じ価値観のもとに農村社会も扱われたことで、様々な矛盾が生じているのだと思う。 民主化されたいまの日本で、柳田のいう「固有の共産制度」の価値を見直し、いかにして地域で実践することができるか。ますます重要なテーマになると感じた。
2023/02/05
よしひろ
村の価値、自助、相互扶助の仕組みに驚かされる。
2021/06/20
フクロウ
タイトルのとおり、1929年時点での柳田國男の「都市」と「農村」についての観察と主張が書かれている。農村の小作農(151-202)及び都市に対する北国からの冬季限定出稼ぎ労働者(137-138)を始めとする原locatioの問題、人入れ稼業(人材仲介派遣業)の問題(134)、共有と公共物の違いの認識(221-222)と不在地主からの土地取上げ(186、224)及び農民組合による農業金融〜譲渡担保禁圧(199-202)、村での互選と衆議を旨とする共和制の指摘(178)など極めて示唆に富む。
2019/03/26
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