権威と権力――いうことをきかせる原理・きく原理 (岩波新書 青版 C-36)
権威と権力――いうことをきかせる原理・きく原理 (岩波新書 青版 C-36) / 感想・レビュー
KAZOO
表面的の読むと高校生との対話形式で終始する話なのですが、内容的には結構難しいものがあります。まさしく表題の通りの権威と権力について難しい言葉を使わずに説明してくれます。人間関係論や組織論に分類されるのでしょうが、歴史や哲学的な話も出てきます。今ならジュニア新書に収められるのかもしれません。
2015/09/22
壱萬参仟縁
他人を支配したいのだろう。権威は従っても従わなくても、というものだが、権力は無理に従わせるので、権威とは違う(35頁)。そのとおり。不可抗力の権力。有無を言わせぬ権力。権威が前で、権力が後から生じた(42頁)。本書は、外山滋比古先生のようなわかりやすさがある。対話式だからだろうか。では、学歴は権威(124頁)なのだろう。権力ではない。
2013/11/04
ソングライン
高校生のA君がクラスにまとまりのないことを精神科の先生に相談することから始まる哲学的対話集です。まとまりのない原因は、権威の消失からくるという考察から始まり、権威と権力の違いの議論から、権力闘争とは何か、まとまりとはなぜ必要なのか、人はばらばらで生きられないのかと二人の対話は展開していきます。短い本なのですが、作者の考える人間の本質、理想の社会像が伝わってきます。
2019/04/27
nobody
どんなに語り口が平明で行替え・余白が多くすなわち読みやすくても、肝腎な論理の因果関係が断裂・破綻していては元の木阿弥である。その点なだいなだも丸山真男と変わるところがなかったのは残念。社会主義とマルクスは何遍も出てくるが無政府主義は一遍も出てこない、しかしなだはバクーニンではないか。精神科医としての権威心理分析は出色である。すなわち人間の出発点は権威的人間関係=親子関係である。その原点となる心性は不安であり、子供は親のいうことをきくことで安心を得ることができるので、自分から進んでいうことをきくようになる。
2017/04/03
gollum
「民族という名の宗教―人をまとめる原理・排除する原理 」という本を古本屋で買ったが、どうもこの「権威と権力」の続編・後日譚のスタイルを取っているようなので、こちらは新刊を買ってみた。なだいなださんが亡くなったことが奥付に明記されていることがショック。私が大学生の頃の本。当時、読んでいたら引きちぎっていたかもしれない(笑)が、今は落ち着いて読めるのだから、齢を重ねるのもいいもんだ。生徒と哲学的な討論の入り口に使う素材として、平易でかつ興味深くてよいが、終盤の時事ネタは今の子にはピンとこないかもしれないなあ。
2015/02/18
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