マンボウ雑学記 (岩波新書 黄版 167)
マンボウ雑学記 (岩波新書 黄版 167) / 感想・レビュー
クプクプ
北杜夫の53才の時に描かれたエッセイ。39才の時に描いた「どくとるマンボウ青春記」より想像以上に成長していました。私のよう自然好きは、科学的なことにこだわりすぎて、頭が硬くなりがちですが、そこはやはり大作家、北杜夫の真骨頂が発揮され、お化けについての文章は超一流だと感じました。お化けについては北杜夫は自分の幼児性が理解を深めたと書かれていました。また専門の精神科医としての文章も興味深く北杜夫は若い頃、分裂気質で処女作「幽霊」はその典型的な作品だそうです。大人になってから躁鬱病になったのは初めて知りました。
2024/04/22
yamatoshiuruhashi
読友さんのレビューで注文したもののなかなか手に入らず、その後は積読山の試練を経て発注丸4か月後の読了。北杜夫を読んだのは何年振り(何十年ぶり)だろう。読みつつ北杜夫のエッセイの文体はこんな風だったと自分の若かりし頃と共に思い出した。「日本について」と記紀や倭人伝の記述に始まり「おばけについて」では古典の素養の幅広さに驚く。「看護婦について」ではさすがに医者だから書けること。なだいなだや辻邦生など懐かしい名前も頻出。「躁鬱病について」は鬱病が脚光を浴びる今日非常に重要な示唆に富む。満足のエッセイ集でした。
2020/04/07
CTC
81年岩波新書、15年に復刊。学生時代、マンボウシリーズは狐狸庵先生やらとセットで古書含めだいたい読んだと思っていたのだが…先ごろ同レーベルの『太平洋戦争陸戦概史』を探した際に、隣に本書を置いている気の利いた(皮肉です)本屋があり…さすがにマンボウで岩波新書は未読かなぁと購入した次第。実際どうも初読のようであった(苦笑)。いわゆる“マンボウ航海”の際に独で手に入れたガス銃の事で、のちに警察の世話になった由は様々に読んだ記憶があるが…その顛末詳細はこのテキストだけなんじゃないかな?全然自信はないが(笑)。
2019/11/28
フジコ
「お化けについて」の章は雑学レベルではなく‘博士号’だろう。今後、子供に「お化け」について質問を受けた時は、迷わずこの本を紹介しよう。「躁鬱について」の章では、躁鬱病患者の認識が大きく変わった。「この世には、愉しくほがらかなこともあれば、沈鬱でもの悲しいこともある。躁鬱病者は、他の正常人よりそれを十二分に感ずることのできる人々なのである。」自らが患者として様々な経験を乗り越えてきた筆者だからこそ、表現できる一文であると思った。筆者の心の豊かさに感動。
2012/05/17
双海(ふたみ)
お化けに関する文章は質・量ともに圧巻。
2012/12/21
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