経済学とは何だろうか (岩波新書)
経済学とは何だろうか (岩波新書) / 感想・レビュー
KAZOO
再読です。今読み直してみるとかなり古い感じはするのですが、内容的には近代経済学の歴史的な経緯などを書かれているので今読んでも違和感はありません。アメリカでの制度化された経済学の動向や日本での普及された道筋、その後の新古典派批判や80年代の保守化傾向(ケインズ批判とハイエク回帰)などを一通りおさらいしてくれます。その後の動向を入れた改訂版でも出してくれないですかね。
2015/06/21
Francis
大学卒業直後以来20年ぶりの再読。1982年初版なのだが、今読んでも十分通用する内容。アメリカ合衆国でなぜ経済学が隆盛になったのか、日本では経済学がどの様に受容されたのか、ラディカル経済学運動は何故失速したか、など今読んでも興味深い内容揃い。ケインズ経済学を消滅寸前にまで追い込んだ新自由主義が英国のEU離脱、アメリカのトランプ現象などの弊害を引き起こしている今、この本を読み返す必要は大いにあり。将来経済学の古典ともなりうるのではないだろうか。
2016/11/06
isao_key
前半では日本に近代経済学が入ってからの変遷について、後半では西洋における経済学の潮流を分析、特にケインズとハイエクについて多く言及している。アメリカにおけるビジネス教育制度のもたらしたものは面白い指摘。1.画一的なビジネス教育の普及によって、経営者の思考の流儀が画一化され、そのため企業内の意思決定や企業間の商談が迅速に運ぶ。2.米国社会における専門化尊重の風土と相まってある種の「安定装置」を企業社会に付与している。MBA=専門職扱いにすることで企業内の人事管理がたやすくなり、不要な軋轢を回避できるという。
2014/03/10
スズツキ
実は日本のエコノミストに絶大な影響を与えたらしい作品。色々な意味で。散逸されていたものがパッケージされて以降の経済学中心の話。アメリカでは考えの違いはあれどある種のリンガフランカはあったが、日本にはそれすらなく完全なすれ違いだったというのは今も変わらない気がする。経済が科学的土俵に立つという思想の問題やケインズを中心とした論争などなかなか面白い。
2016/06/06
kaizen@名古屋de朝活読書会
岩波新書愛好会】数理経済学、統計学の佐和先生の本で勉強。「専門用語のわかりにくさ」で「翻訳された日常言語のジャルゴン化」という点を指摘。「経済学用語のすわりの悪さ」で英語の経済用語は日常用語なのに日本語の経済用語は専門用語であることを指摘。自然科学、工学で「日常生活とはほとんど無縁なものが多い」ので日常用語を使う必要がないため「「収まりの悪さ」に戸惑う必要はない」とのこと。用語について佐和先生のようにきちんとした理解をしている人は多くない。保守化する経済学で終わっているところも現代経済学の現状を表してる。
2009/10/09
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