術語集: 気になることば (岩波新書 黄版 276)
術語集: 気になることば (岩波新書 黄版 276) / 感想・レビュー
ころこ
多分、大学1年生が教養の課題で読むのでしょうか。英語が使えるようになる前に単語帳をはじめから覚えるように、若者に本書を読めというのは酷でしょう。それまでに考えたことがない哲学で使われている言葉を、その文脈を捨象した概念から入るというのは、効果的な読書とはいえません。しかも、わざとらしく難解な表現を使ってあったり、現在は議論が進みもっと簡潔に理解し整理できる議論がいくつかあります。著者は、近代主義的な知とその権力に対し、各々の身体感覚を取り戻すことで、知の権力も各々に取り戻そうとするようにみえます。
2019/10/05
Tui
難しげな文献を読むにあたり知っておくとよいキーワードの案内、といったところ。様々な語について、著者がその語源や古今文献の引用などを駆使して捉えなおし、エッセイ風に綴っています。正直、難解でしたが、著者が哲学者で引用元もそれなりの大著だからではなく、単に私の知的レベルの低さでして。でも、読んだことのある文章やエピソードと出会えると、辛うじて誤用はしてないかな、なんて嬉しくなり。それもひとえに今まで読んできた本たちのおかげと感謝もしたり。人間の弱さの自覚の上に立つ知〈パトスの知〉は持っていたいなと思いました。
2015/02/24
風に吹かれて
言葉によって世界の構造を読み解き、そして言葉によって新たな構造を築く。だから、色々な意味を術語に乗せ、あるいは概念を術語化していく。言葉によって考える、言葉によって何かを把握する、分析する。先ごろ亡くなられた哲学者中村雄二郎氏の術語集。曖昧なままに、何となく、こんなときに使うのだろうという感じで言語生活をしている私にとって、とても有意義な本だった。最初の言葉が「アイデンティティ」。関連語として「自同律」。埴谷雄高「死霊」を読んだばかりだったので、とても興味深かった。40の術語が中村流に定義されている。
2018/03/02
白拍子
難しげな文献を読むにあたり知っておいた方がとよいと思われるキーワードや専門用語の辞書のような感じで、目次が索引になっている様な形式で書かれている。大学に入学したら最低これくらいの事は必要だと思った場合や、インテリジェンスを求める人は必読かも。人文系の学問で頻出する基本的な言葉について1項目5頁のエッセイ形式で語ってくれている。今でも版を重ねているのは名著の証でしょうか。初版が1984年なので一部鵜呑みにすると時勢に合わなくなる概念もあり注意が必要かも。かなり難解。術語集Ⅱもあるので今度読んでみよう。
2018/09/13
よしひろ
哲学や社会学、神学で使用するような用語の意味・成り立ちなどについて述べているの。一つの術語にたくさんの文献からの説明がなされているので、内容が濃い。制度・パラダイム・レトリック・道化・遊び・聖なるものなどの術語が登場。今回はパトスという術語を覚えておこうと思った。
2015/08/23
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