映画で世界を愛せるか (岩波新書 新赤版 55)
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映画で世界を愛せるか (岩波新書 新赤版 55) / 感想・レビュー
つまみ食い
掛け値なしの名著。映画というものの見方を変えてしまう一冊であると同時に、日本の戦争責任や他者(アジア)観を問う一冊でもある。 前半部は韓国、中国、台湾、タイ、インドネシアなどさまざまな国の映画を日本の植民地主義や戦争犯罪などと絡めつつ紹介する。 日本の戦争映画で日米開戦前夜から終戦に至る流れを悲劇的に描く映画は数多いが、盧溝橋事件から描く映画はほとんどないと述べ、そこに日本の戦争映画(と戦後社会)の一つの限界を指摘する記述などは膝を打った。
2023/01/16
鳥田卓
「日本人と韓国人は映画でどこまで理解しあえるか」など当時のさまざまな映画を紹介しつつ著者の主張を述べていく、という構成。1989発行という古さだが、現在の自分自身の価値観にもしっかりと影響を与えてくれる中身のある本である。個人的には第6章の「日本とブラジルには近代文明とアミニズムに代表されるような共通性がある」という文が興味深かったが、やはりこの本の一番の良文はと聞かれたら、僕は終章の小見出し「映画に<人類>が見える」が一番だと思っている。ただし、これはやはり終章の最後というだけあって著者の主張の総評と
2017/11/30
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