短篇小説講義 (岩波新書 新赤版 128)
短篇小説講義 (岩波新書 新赤版 128) / 感想・レビュー
∃.狂茶党
1990年、全集が完結して『虚構船団』が5年ほど前、『文学部唯野教授』を出してしばらくした頃。 わたしは、『文学部唯野教授』があまり楽しめなかったことを思い出す。 本書は、新書であり、ごく軽い読み物ですぐ読める。 何をどのように書いてもいいのだが、適切な手法を見つけ出せれば、それにこしたことはない。 そのようなことが書いてある。 この適切ってのが厄介で、新しい視点を編み出すことが求められている。 手法と作品が合致することは、困難であるようです。
2024/02/02
KAZOO
筒井さんが珍しくこのような本を書いていたとは。やはりマニアックな方でサマセットモーム以外の作品は私はほとんど読んでいません。ただ紹介されている短編はすべて岩波文庫の中から選んでいるのですね。読んでいてさいしょは雑誌「図書」に連載されているものと思ったのですが違いました。これから紹介された作品を読んでみようと思います。
2014/05/27
還暦院erk
図書館本。精読読了。予想をはるかに超えて勉強になった。短編小説だけでなく、漫画などを読むときにも参考になる「舞台裏開陳」というか「作家のネタばらし」というか。これから明治期の『小説神髄』『小説総論』に挑戦する不肖わたくしめの、親切なステップボードになったかな?
2019/05/15
さや
小説は自由であるべきだという著者、それは著者の書く短編にも現れている。傑作とも言うべき短編は現代までに飽き飽きするほど生まれてきた。飽き飽きしたからこそ、新たな短編を生み出せるという。未だ短編をよんで凄いと感じるのではだめだという。伝統についても、破壊するものではなく、そこから新たな伝統が産まれる。引用も多く、少し物足りない気もするが要所要所の著者の言葉は胸を打つ。モーム、ディケンズ、ホフマンなどもさらに読みたい。
2016/03/25
ヴァン
筒井康隆が短篇小説について作家たちの作品を分析しながら、小説論を展開していく。実際に創作を目指している人には役立つと思う。取り上げられているビアスの『アウルクリーク橋の一事件』は、昔テレビの『世にも不思議な物語』で映像化されている。意外性のあるオチがあると通俗と評される風潮は昔からあったのだという記述は、純文学対大衆文学というような今日も続くテーマに連なる。
2020/02/05
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