異郷の昭和文学: 満州と近代日本 (岩波新書 新赤版 144)
異郷の昭和文学: 満州と近代日本 (岩波新書 新赤版 144) / 感想・レビュー
samandabadra
冒頭の作者が釜山の宝水洞でであった古本屋の主人との日本語でのやり取りが印象深い。モンゴル語の辞書を所望され、高かったので日本から会話集を買ってきたが、その時主人がモンゴル、ロシア国境近くの満州の街にいたことを語ってくれたとある。ホロンバイルあるいはハイラルであろう。1982-86年あたりの話なので、古本屋のご主人は生きてはいまい。 文学賞と満州などの植民地文学、民族を描くことなど、興味深いつながりを知ることができる本 あと、津軽方言詩集『まるめろ』の作者高木恭造さんが、満州で文学賞を獲っていて驚いた。
2012/12/16
Nick Carraway
満州開拓移民と「満州国」建国。それに伴って「大連」で開花したモダニズム、「新京」の浪漫派の活動、「奉天・ハルピン・蒙疆」を舞台に書かれた民族の軋轢を描いた作品の文学賞受賞。とりわけ初期芥川賞受賞作の国策との呼応。現代まで続く「満州国」の亡霊を、文学の面から炙り出した秀作評論である。
2020/06/21
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