日本の近代建築 下: 大正・昭和篇 (岩波新書 新赤版 309)
日本の近代建築 下: 大正・昭和篇 (岩波新書 新赤版 309) / 感想・レビュー
コットン
「大体他人の真似をするのが絶対に嫌いで何とか自分自身のものを出そうという努力と野心に満ちていた」という安井武雄が国籍不明ともいえる大阪倶楽部や高麗橋野村ビルディングなどを設計、また学生時に吉原から通学していた渡辺節が独創的な腕とセンスで大阪商船神戸支店を設計など、建物から人柄がわかるようで興味深い。
2012/12/16
かっぱ
明治から大正、昭和へ。ここにきて、アメリカの無駄な装飾を排した合理的で機能的な建築法も登場。また、第二、第三世代になると単なる物まねではない建築家としての思想が育ってきていることも分かります。モダンデザインが植物層、鉱物層、数学層と掘り下げていく過程であって、日本の建築においては、そのすべての層を経ているという点で世界にまれであるということも知り得ました。これからの街歩きが楽しみです。
2013/11/04
月猫夕霧/いのうえそう
先月読んだ上巻に続き下巻も読みました。大正時代にもなると西洋の建築理論が整理されて日本人に入っているので用語なども聞いたことのあるものが中心となります。とはいえ、個々の洋風建築にどの国の影響かの違いがこんなにあることに気づいてなかったので今後古い建築物を見るときの目が変わりそうです。あとこれは出版から30年近く経っているから言えることですが、ぜひ戦後編も出してください藤森先生。
2021/08/18
chang_ume
歴史主義からモダンデザインまで近代建築の分派集合。編年のダイナミズムは建築史の華ですね。アールヌーヴォー以降の流れのなかでも、「確信的な遅れ」を建築家の個人史にもった村野藤吾の仕事がとりわけ興味をひくものでした。また戦前戦中期に「右寄りの軌跡」を描いたコルビジェ派について、その「デザインの体質」から帰趨を読み解く段は見事です。建築実例ごとに、それぞれが表現する美を形容する言葉は藤森さん一流のものでしょう。ひたすら面白かった。
2016/07/31
takao
ふむ
2024/03/23
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