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漱石を書く (岩波新書 新赤版 315)

漱石を書く (岩波新書 新赤版 315)

漱石を書く (岩波新書 新赤版 315)

作家
島田雅彦
出版社
岩波書店
発売日
2002-07-18
ISBN
9784004303152
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漱石を書く (岩波新書 新赤版 315) / 感想・レビュー

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ころこ

ある時まで全作品を読んでいた著者の文章を久しぶりに読みました。著者の若い頃の小説の特徴は、模倣による継ぎはぎだらけの不格好さと未成熟さにあります。それこそが小説が持っているジャンル本来の特徴であるという小説批判になっており、近代批判にもなっていました。老成するとずっとは続けられない手法なため、小説の読解という模倣小説家ならではの強みを使った路線変更がこの当時、既に顔をのぞかせています。かなり読み易く、率直、丁寧で、要するに毒気が無いことが本書の評価であると共に、路線変更後の著者に対する批判でもあります。

2020/04/17

ももたろう

漱石の作品を解剖していた。漱石の心理分析が如何に凄いのかとか、夢十夜や坑夫など読んだばかりの作品の評論について、面白く読んだ。一番興味深かったのは、本居宣長と漱石の比較。

2016/03/28

袖崎いたる

漱石について書くことは小説を書くことへの方法論について書くことだという見解から、漱石の文体についてを作品を論評しつつ検討する本。いわく漢文学と英文学とに相対してた漱石は、いわゆる近代小説の三人称客観描写をする語り手を否定していて、常にそれとは別様の「小説以外のもの」を描くことに執着していたのだとのこと。この方法論への執着はひとつの実存批判の哲学ともいえる。生活上の<想像力=認識力>の向上に文学が寄与するものだとすれば、「日常の言語で書かれた独自の文学論」である小説という装置は解読格子の創造でもあるだろう。

2016/11/24

悠々人

漱石に限らず、言語の三角関係の直中にいた明治の作家がいる。 (三角関係とは日本語と漢文と第三の言語、漱石は英語) 二葉亭四迷はロシア語と森鷗外はドイツ語と。しかしながら、この二人は 漱石の『文学論』に当たるようなものは書かなかった。 このことだけでも漱石は素晴らしいですね。

2014/09/06

kankoto

未読本の島から引っ張り出してきて読んだ。なんと20年近く前に買った本なのかあ… 面白かった。作品について書かれた物を読んで作品自体を読まないで満足してしまうのでこれを期に読んだものも読んでないものも漱石を読もうと思った。そうしてからまた読みなおしたい。

2012/04/10

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