日本の地名 (岩波新書 新赤版 495)
日本の地名 (岩波新書 新赤版 495) / 感想・レビュー
やいっち
四半世紀ほど前に本書を読んだ。地名には興味津々。日本書紀などには地名説話があるが、ヤマトが古くからの呼び方を勝手に(権力で)上書きした感が強く違和感がある。昨日から読み出した児島恭子著「アイヌ語地名の歴史」に絡み日本の地名にも改めて関心を呼び起こされた。
壱萬参仟縁
沖縄では島のまわりをとりまく暗礁をヒシ(干瀬)と呼んでいる。ヒシの外は深い海だが、ヒシと海岸までの間は浅い海でイノウと呼ばれる(81頁)。上田市の生島足島神社は安宗郷に鎮座する式内社(103頁)。 この神社が大八洲の霊を祀る(104頁)。青崩峠の謎も面白そうだ(124頁)。 また、塩尻市の善知鳥峠の谷間、洞穴、窪地につけられる地名で、ウソ、オソ、ウツ、ウト、ウトウ。 考えるだけで、鬱になる?? 大歩危・小歩危のホケはホキ、フキと同じく、けわしい崖(137頁)。
2015/08/05
はちめ
言語学者にとって地名などの固有名詞は意味を持たないが、民俗学者にとって地名は宝でありその土地を生きた人々の生活の息吹を感じることができるものだ。本書においてたくさんの地名が紹介されているが、大切なのは日本列島の海岸沿いを黒潮に乗って移動した人々や中央構造線を移動経路とした人々の生活の息吹を感じることだ。とてつもなく長い年月の間、人々は獲物を獲得するためや物を運び交換するために移動を続け、それが共通する地名として定着した。そんなロマンを感じることができる。ただ、福岡市を博多市と誤認しているには問題。☆☆☆☆
2021/05/09
シンショ
地名の由来には確固たる正解はないため、それぞれが想像を働かせて自分なりの正解を探ろうとできるロマンがある。反面、自分の論調の主張が強く根拠が薄く感じられる地名本も多い。本書は黒潮や中央構造線に沿った人々の移動した経緯を一つ一つ細かく解明しながら、その地名が成立した根拠を解説している。書かれていることにどこまで信憑性があるかわからないが、そこに至るプロセスは非常に興味深かった。最後にでてきた「明宝村」は特産のハムをブランド化するため、村名が変更になった理由の一つ。
2021/12/18
みかりんご。
【図書館】日本各地に残る地名(主に小字)についての由来を、伝承や民俗学的から見て考察。◆よくある「地名の由来本」とは異なり、各地に伝わる伝承や民俗学的見地から由来を辿っている為、眉唾的に思う箇所もあり。でもそこの部分を調べると、案外きちんとした根拠があったり。気になるのは沖縄と本土の青の伝承と、白鳥伝説の足跡を訪ねて、鵜飼いから読み解く、かな(中央構造線に沿いの南朝伝説は地元なこともあり若干知っているので)。
2021/02/06
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