術語集 2 (岩波新書 新赤版 504)
術語集 2 (岩波新書 新赤版 504) / 感想・レビュー
ころこ
40の術語がきっちりと各5ページで論じられていて、本文は丁度200ページ。著者の几帳面さと得手不得手をみせない力量が窺える。前著『術語集』の方が自分の生活と離れた言葉が並んでいて、しかしその言葉を使う局面への誘いの記述に妙があった。本書の術語は比較的に新しい言葉が並ぶ。出版当時はこれらの言葉を初めて知る読者が大半だったはずだ。今読んでも不思議と古びてしまった言葉はない。著者の慧眼なのか、それとも社会の進度が遅いのか、現在はそれらが益々明確化、先鋭化されているという印象を持つ。当時、氷河期だった21人工知能
2023/02/02
白拍子
術語集に続いて第2弾。読むのに時間がかかった。難しい。不透明感を増す現代を,根底から照らすキーワードを精選しておくる,ベストセラーの続編.悪,記憶,宗教,哲学,物語といった基本となる用語から,アフォーダンス,オリエンタリズム,脳死,歴史の終わり,など現在みおとすことのできないテーマまで,全40項目を一新.緊密に関連づけられた叙述から,明晰な認識が導かれるだろう。しかし、よくここまで難しい言葉をわざわざ難解に説明するのだろうか。難しい言葉を、簡単に誰にでもわかる言葉で説明してナンボではないのでしょうか。
2018/10/17
猫丸
1997年時点での「最新のキーワード」。オートポイエーシス、カオス、人工知能、免疫系などが採られた反面、悪、老い、崇高、哲学などという基底的語彙も登場。世紀末における知の問い直しの雰囲気が濃厚である。中村氏の議論の触手が多方面に伸びていることは認める。ただ、いささか予定調和。批判の切れ味に物足りなさを覚える。近代科学の括り方があまりに大雑把なのがいちばん目立つ瑕疵じゃないだろうか。そもそも同じ理系であっても理学畑と工学界隈とでは価値観にかなり大きな違いがある。それをひっくるめていたら話が粗雑になろう。
2019/07/29
風に吹かれて
『Ⅰ』が原理的な術語で、1997年刊の『Ⅱ』は各論的な術語が多いような気がする。刊行から20年が過ぎているが、古びてなくて、現代でも熟考すべき熟語・課題が引き続いていると考えるべきだろう。例えば、「人間の思考に近づけるために役立つ」のがファジー集合。「ファジー」」と言う言葉は、懐かしい感じさえするが、そういったことを術語化明確化することが様々な技術発展に繋がってくるのだ。「複雑系」とか「カオス」も同様だと思う。「日本的霊性」「物語」「弱さの思想」「歴史の終わり」などは、人間とは?と考えさせられる。
2018/04/21
pollack
1984年に出版された『術語集―気になることば―』から13年を経ての続編です。哲学者である著者が気になった40の言葉(ポストモダン、悪、共同体、アニミズム、崇高、記憶、恥の文化、脳死など)を整理・再認識し、問題点を浮き上がらせます。単純な辞書的機能を持たせたものではありません。1語あたり5頁くらいなので読む時間はあまりかからないですが、ある程度の教養が無いと難しいかもしれません。人文系、社会系、科学系と広い分野に跨がって語が取りあげられ、思索の新たな切り口のきっかけになると思います。
2016/02/08
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