アルコール問答 (岩波新書 新赤版 548)
アルコール問答 (岩波新書 新赤版 548) / 感想・レビュー
ネギっ子gen
以前は、『娘の学校』始め氏の軽妙なエッセーをよく読んだものだが、このような著者の本業に関する本は、実は避けてきた(オトナの諸事情で…てか、自らの「断酒」から目を逸らしたかったので…)。そして、自身の「アルコール問題」が顕在化してしまった今、漸う「久里浜方式」創始者である著者のアルコール本と対面した次第で。「アルコール依存症」でなく「アルコール中毒」と表記されているように昔の本。それでも、内容的に古くなっていないように感じる(というのでは困るところではあるが…)。対話形式なため、読みやすい本になっている。⇒
2020/04/21
Yuichiro Komiya
1人のアルコール依存性患者の治療の物語を通して、アルコール依存性の発生した経緯や治療法の発展の歴史、家族との問題や治すために必要な事などを浮き彫りにする。アルコール依存性は意志の力では治しにくく、飲みたいと思う気持ちと飲んだらいけないと思う気持ちの天秤をちょっと後者側に倒してあげるというのが参考になった。アルコールだけでなく、他の依存性にも同じことがいえると思う。
2015/01/18
とうゆ
まずタイトルが秀逸。日本のアルコール依存症治療の草分け的存在の精神科医が一般の人向けに書いた本。アル中は産業革命が可能にした大量生産による現代病、酒の法規制の挫折と道徳的指導から医療による治療への転換、また治療方法が隔離から生活改善のサポートへ変化。
2023/04/09
katoyann
アルコール依存は、技術革新と資本主義の発展により、酒を大量に生産できるようになった社会で生まれた病だ、と著者は言う。 依存症患者の気質を述べるのではなく、患者との対話形式をとりながら、酒の歴史について説明していく。すると、例えば江戸時代では、そもそも依存症患者が生まれるほど、酒を生産することができなかったという事実を知る。 また、「酒が作った病気の治療は、酒税でするべき」(208頁)という意見も面白い。全般的にアルコール依存を社会の病とする視点が面白かった。
2020/03/23
駒場
アル中について医者と患者の対話方式で語られる初心者向け良書。手が震えるようなアル中じゃないのに何故病院に通う必要があるのか、それでも酒を飲んでしまうのは意志が弱いからなのか、依存症治療はどう行うか、断酒会にはどんな意味があるのか、そもそもアル中は病気なのか……などなど素朴な疑問に丁寧にこたえてくれる大変読みやすい本。アルコール中毒が「病気」として認識されていくようになる社会の変容など、歴史的な記述もあるのが読み物としても面白かった
2015/08/01
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