KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

翻訳と日本の近代 (岩波新書 新赤版 580)

翻訳と日本の近代 (岩波新書 新赤版 580)

翻訳と日本の近代 (岩波新書 新赤版 580)

作家
丸山眞男
加藤周一
出版社
岩波書店
発売日
1998-10-20
ISBN
9784004305804
amazonで購入する

翻訳と日本の近代 (岩波新書 新赤版 580) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

鉄之助

「翻訳文化は、必ずしも独創を排除しない」。江戸時代の「読み下し漢文」を例にとり、日本の当時の学者が必ずしも中国の後追いをせず文化的自立を強化した、と解説。幕末維新、外国情報をめぐる翻訳ラッシュをいかに乗り切ったかが、よくわかった。

2023/09/08

あきあかね

 翻訳によって西洋文明を次々と吸収し、急速な近代化を果たした明治の日本。本書では、翻訳の背景、何を、どう訳したか、徹底して翻訳主義をとった理由とその功罪などを、加藤周一が丸山真男に問いかける。東洋と西洋の思想に精通した丸山真男の「深さ」と、医学、思想、文学、美術等の知識を持つ加藤周一の「広さ」。両者の該博な教養に基づく対話は、多くの新鮮な驚きを与えてくれる。 意外だなと思ったのは、明治初期の翻訳に歴史書が多かったという点。軍事や法制度、科学技術といった、すぐに「役に立つ」知識を採り入れているイメージが⇒

2019/11/22

さきん

日本の近代化にあたって,社会と文化に大きな影響を与えた〈翻訳〉.何を,どのように訳したのか.また,それを可能とした条件は何であり,その功罪とは何か.活発な言論活動を続ける評論家の問いに答えて,政治思想史研究の第一人者が存分に語る.日本近代思想大系『翻訳の思想』(1991年刊)編集過程でなされた貴重な記録.翻訳のニュアンス違いや知識不足からの誤解が日本社会へ与える影響力は大きいと思った。しかし、それらの失敗も致し方ないし、逆に翻訳を通して思想を新たな視点で眺めることができるのも翻訳の醍醐味と思う。

2016/01/26

Nobu A

加藤周一と丸山真男の対談本。日本の近代化を支えていたのは西洋からの知識の輸入。翻訳なくしてはなし得なかった。何をどのように訳したのかを時系列で語られ、明治時代は歴史書の翻訳が多かったとか、「speech」の最初の訳は「演舌」等、興味深い。外国語から日本語への翻訳は常に文化の「一方通行」の手段だが、異文化間の接触が「両面通行」で有り得るためには日本語から外国語への逆翻訳が同時に行われるか、複数の文化に共通言語が必要というのが印象的。翻訳によって造語や新語が生まれ、今の日本語に少なからず影響を与えている。

2015/12/13

タナカとダイアローグ

対談形式で読みやすい(けど内容は難しい)ので、丸山眞男著作に歯が立たなかった私も読めた。なぜ翻訳する必要があったのか、なぜその本が選ばれたのか、どのような訳語が与えられたのか、その影響は?と探っていくと歴史の裏読みができる。福沢諭吉や中江兆民の例おおし。翻訳するとラディカルになりがちという指摘は面白かった。スペンサーのソーシャル・スタティックスを社会平権論と訳して自由民権運動者の聖典に、みたいな。売れやすい分かりやすいタイトルに的な思惑じゃなくて、訳者にしっくりくる訳語で主張すると強くなるんだなと。

2023/10/08

感想・レビューをもっと見る