翻訳はいかにすべきか (岩波新書 新赤版 652)
翻訳はいかにすべきか (岩波新書 新赤版 652) / 感想・レビュー
もち
2年くらい積読していたもの。 もっと早くに読んで、心を抉られておくべきだったと思う。 なかなかにおもしろかった。三島が天才なのもよくわかった。翻訳に関する書物を読み漁りたいものだ。
2016/04/08
サアベドラ
翻訳と言葉遊びに熱中するあまりに一線を踏み越えてしまった翻訳家の自画自賛と他者批判のようなもの。一応翻訳テクニック的なことも書いてあるけど、ほんの気持ち程度しかなくあまり役に立たない。原文の読解力も日本語の表現力も凄まじいが、いかんせんアクが強すぎて正直ついて行けない。一字一句原文そのままの直訳も売り物として失格だけど、この人のように「正しい解釈」の名分のもとにもはや一見日本語に見えない奇妙奇天烈な訳文を仕立てあげるのもそれはそれでどうなんだろうと思う。
2012/04/13
yasukotta
文芸翻訳の奥の深さ、難しさ、楽しさがわかりました。序章が総論で、そこを読むだけでも勉強になります。「昨日よりも今日のほうが、たとえほんのわずかでも上昇していなければならないと思う。ほんのほんのわずかの上昇は、細部へのこだわりによって可能になるのではあるまいか。」(p. 9)
2019/08/17
Nobu A
図書館本読了。柳瀬尚紀が実際の翻訳の事例を挙げながら、彼だったらこのように訳すという比較をし、分かりやすく解説。拙い翻訳(彼は悪訳と呼ぶ)は確かに結構ある。残念ながら、学会の研究要旨対訳でも違和感があるのを時々散見する。三島由紀夫曰く、語学が出来ないから翻訳にケチがつけられないことはない。仮にも日本語であり、日本語の文章なので自分の判断でいい翻訳を識別できるとか。筆者の「翻訳は精読の理想の形」というのは目に鱗。自分自身、日本語も英語も中途半端だが、言語にはもっと敏感になりたいと思った。
2015/11/17
脳疣沼
柳瀬尚紀が影響を受けた人たち(吉田健一や加藤郁乎、吉増剛造、芥川龍之介などなど)のことを知ることができる。他人の翻訳に関しては相変わらず辛口だが、しかし、批判されている翻訳を見ると、確かに酷いものが多い。物事をとことん突き詰めて考える大切さを学ぶことができる。
2014/10/28
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