多神教と一神教: 古代地中海世界の宗教ドラマ (岩波新書 新赤版 967)
多神教と一神教: 古代地中海世界の宗教ドラマ (岩波新書 新赤版 967) / 感想・レビュー
saga
初めに多くの神々があり。そして、虐げられた民により一神教が生まれた。しかし、多神教の国・日本に生まれ育った自分に、一神教の本質が理解できるかは疑問がある。それでも世界を理解するには、宗教を知ることが必要だと思う。文字が、神々のことを記録するために生まれ、表音文字アルファベットが普及することが、神と人との距離を遠ざけてしまったようだ。多神教の中の至高神、一神教の中の聖者崇拝と、宗教とは真に複雑なのだな~
2023/12/16
ユウユウ
なぜ多神教があり、一神教が生まれたのか。それも地中海周辺という限られた地域で限られた時期に。副題にある“宗教ドラマ”がまさにと思える展開。個々のエピソードも興味深かった。もっとじっくり読んだり、参考文献に触れたりしたら、より楽しめそうだ。
2020/08/27
Aminadab
おお、大勢読んでるし評価も高いぞ。古代オリエントからユダヤ教、ヘレニズムを経てローマ帝国のキリスト教改宗にいたる通史だが切り口が斬新。(右脳左脳の説はさておくが)アルファベットの発明で識字能力が一般知識層に拡大したその瞬間に、たとえばギリシャ人にはオリンポス12神の声が聞こえなくなった、とする。クセノフォンやソクラテスにはまだ聞こえていたが、ヘレニズムになるともうダメで、東方コイネー圏に由来する密儀宗教・救済宗教がどっと広がってその空白を埋める。エリアーデなんかもちゃんと消化していて、一読の価値あり。
2022/07/25
おおにし
地中海の古代人の心には命令を下す「神」の部分と、それに従う「人間」の2つの部分に分かれていたという。これを〈二分心〉説といい、脳科学的には「神」が右脳、「人間」が左脳に当たる。しかし古代人が文字を獲得して抽象概念を持つようになると今まで聞こえていた神の声が届かなくなった。世界の激動に巻き込まれた人々は、声が聞こえなくなってしまった神への救済を求め、信仰を深めていくなかで一神教が誕生したという。〈二分心〉説はとても興味深い。しかしインドや日本などでは〈二分心〉説は当てはまらなかった。なぜなのだろうか。
2020/01/25
びっぐすとん
図書館本。中々面白い。現世利益のシュメール人、来世信仰のエジプト人、現世も来世もさして期待してないギリシア人。差別され抑圧された人々は絶対的な神、一神教を信仰しやすい。多神教の神は所定の祭祀と犠牲を奉じさえすれば人間の所業に干渉しないが、一神教の神は所業どころか人間の想念にすら干渉する。アルファベットの開発と時を同じくして人々が神の声が聞こえなくなってしまうことが、一神教の広がる原因ではないかと著者は言うが、アルファベットの発明がなぜ原因なのかが読んでもわからない、地球上の全てには当てはまらない気がする。
2021/01/26
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