辞書の仕事 (岩波新書)
辞書の仕事 (岩波新書) / 感想・レビュー
s-kozy
2013年発行の新書。著者は岩波書店で30年以上辞典編集部にいたそうで、またそのほとんどを「広辞苑」や「岩波国語辞典」などの日本語の辞書の仕事に費やしたとのことです。言わば辞書編集のプロによる辞書やことばのあれこれが述べられた本書。日本語やことばが好きな人なら非常に興味深く読めると思います。作り事ではないリアル「舟を編む」といった趣もあり、本書から得られた知識を持って、また「舟を編む」を読むとさらに楽しめるかもしれませんね。
2017/03/17
びす男
辞書だって、人が作っているものには変わりない。本棚の奥で眠る国語辞典が、ぐっと身近になった■そっけない解説文の裏に潜む様々な苦労は、ちょっとしたドラマである。「そこにことばあれば、どんなことばでも載せたい」という一文には、冷厳な辞書のイメージを覆すアツさがあった■常に言葉に意識的である姿勢にも憧れる。「『築く』の解説をどう書く?」という問いに面食らった。そうか、この作業を何万回と繰り返しているのか■限りある紙幅と格闘し、精査された情報を載せる。「出版は製造業である」とは、新聞記者にも通じる至言だと思った。
2020/02/15
katsubek
著者は岩波書店の辞典編集者。辞書の周辺の言葉たちを語るところから始まって、次第に内容が深まり、いやあ、面白い面白い。「たほいや」は、関西在住の小生、寡聞にして知らなかった。面白そう。言葉で言葉の意味を説明することの難しさ、また、用例の大切さ、読んでいて、ストンと腑に落ちる。限られた字数で表現することの難しさ、あっ、これは読書メーターの仲間たちも感じるところか。255字は短い。閑話休題、先日も「言葉の乱れ」がニュースで取り上げられていた。辞書は「鏡」か「鑑」かという論考は非常に興味深かった。辞書と親しもう。
2017/09/30
みのゆかパパ@ぼちぼち読んでます
岩波書店に勤め『広辞苑』などの編集に従事してきた著者が、辞書作りの舞台裏をエッセイ風に紹介した一冊。辞書にどんな言葉を収録し、その解説はどうあるべきか、そこにつける図版は、そして用紙はどんなものがいいかなど、製品としての辞書作りについてのずいぶん細かいところまで取り上げられているのだが、だからといって小難しいわけではなく、あまり興味がなくても読み物として楽しめるものになっている。個人的には、変化する言葉への著者の考え方が参考になると同時に、他社の辞書の評価も興味深く、辞書を読み比べてみたくなってしまった。
2014/04/15
torami
三省堂国語辞典の飯間浩明さんに続いて、広辞苑の増井元さん。辞書作りにまつわるエッセイ集。 読み比べて一番収穫になったのは、一般の人に比べて辞書編集者の方がいわゆる「日本語の乱れ」に寛容だということ。 四六時中言葉について考えている彼らにしてみれば、言葉が変化するなんて当たり前のこと。いちいち目くじらを立てていられないということか。 その一方で、「ここだけは譲れない」というラインを無意識のうちに引いているというのも、人間らしくていいなと思った。
2019/04/05
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