仕事道楽 新版――スタジオジブリの現場 (岩波新書)
仕事道楽 新版――スタジオジブリの現場 (岩波新書) / 感想・レビュー
くぅ
語弊を恐れずに言えば宮崎さんも高畑さんも癖まみれの変人の類い(そうでなければジブリの作品はこんなにも愛されなかっただろうから良しだが)なので、間に挟まる鈴木さんは大変だった(現在進行形かもしれませんが)と思います。しかしそれが覗き見する他人には面白い。基本的にはクスクス笑ってしまうような話が並ぶが故、中に出る鋭い言葉が印象に残る。終盤の現代の若者の鑑賞スタイルについてもそう。ストーリーを追うのみで表現の仕方に目を向けないと。目が大事なものを捉えられなくなってきているのは何故だろう。怖くなりました。
2020/02/08
ホークス
宮崎、高畑の両監督と著者を中心にしたジブリの物語。性格が全く違う三人は、反発しながらも強く引き付け合う。徳間の社長など周囲の人も曲者で、小さな会社は激しく揺れる。一見紳士な著者もヤンチャで、人間洞察に長けケンカも辞さない。人間の美点は、不完全さと一体なんだなと感じた。真面目で厳しい人はわがまま。物事を推し進める人には犠牲的な信奉者が必要。結び付ける人は誰にでも柔軟さを求める。でもそれは、限界ではなく可能性なのだと思う。「何者かになる」という事は、その可能性に賭ける、又は殉じる事ではなかろうか。
2017/08/09
ばんだねいっぺい
徳間社長の「お金なんて紙なんだよ。」や高畑さんの「プロデューサーの仕事は監督の味方であることだ」や宮崎さんの「お互いに尊敬しあっていないから仕事ができる」。血の通った言葉の数々に心打たれる。
2019/08/25
みのゆかパパ@ぼちぼち読んでます
スタジオジブリのプロデューサー・鈴木敏夫が、これまでの仕事を通じて感じていることを、仕事でかかわってきた人たちとのエピソードを交えながら語った一冊。著者の仕事に対するスタンスや、実際の仕事っぷりから何かしらのヒントをもらえたような気もしたのだが、ジブリファンの自分としては、宮崎駿と高畑勲の両巨匠の実像や、彼らの作品にまつわる裏話的なものを知れたのが何といっても興味深い。このところのジブリ作品には何かと不満を言いたくもなっていたが、本書を踏まえて見返したくなると同時に、ジブリのこれからが楽しみになってきた。
2014/07/11
流之助
鈴木敏夫という人は、本当に人付き合いが好きなんだと感じる。私は個性的な人と仕事をするのは苦手だ。自分は融通が利かない人間だ。もっと人のことを面白がる、ということを、これから考えていきたいと思った。また、読んでいるうち、私の祖父を思い出した。父方と母方の、それぞれ性格の全く違う二人の祖父。鬼籍に入ってからもっと話を聞いておきたかったと後悔する。二人の名監督の話を、もっと聞いておくべきなんだ、きっと。ジブリのこれからにも期待してしまう。私たちにはジブリが必要です。
2016/06/11
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