文庫解説ワンダーランド (岩波新書)
文庫解説ワンダーランド (岩波新書) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
斎藤美奈子は初読。普段はほとんど文庫の解説を読まないのだけれど、こうしてあらためて俎上に乗せられてみると、たしかに簡便な批評であり、そこには様々なスタイルがあることがわかる。そして、それと同時に一定の様式もまた見えてくるようだ。斎藤美奈子の語りは口語調で、軽快。しかもスッパリとした鮮やかな切れ味も。その語りは爽快でもある。各章の分類は概ね適格だが、最後の「教えて、現代文学」だけは無理やりにここに収めたようで統一感がなくて残念。しかし、彼女にかかれば小林秀雄大先生もバッサリ。それはそれで痛快でもある。
2020/05/22
zero1
【解説は作品の奴隷じゃない】は名言!解説は何のため?読者を悩ます解説もあれば、作品に関係ないことも。本書が興味深いのは解説の比較。「坊っちゃん」は「敗者の文学」という意見に「神様のカルテ」で知られる夏川草介が反発。作家と研究者の違いが明白に。これは「権威と庶民の違い」と斎藤は述べる。「三四郎」の美禰子は誰が好きだった?明言を避けると「ずるい」の声が。海外の作品は「訳者あとがき」で解説も兼ねる。「国語は道徳」「文学に教訓はいらない」など斎藤らしい意見も多い。戦争関連作品は大いに学べる点あり(後述)。
2019/10/03
takaC
解説の分類など気にはしない。おまけ付きなのかどうかというのが重要。当たり外れがあるのもまた一興。
2017/10/30
KAZOO
この内容については岩波の雑誌「図書」で読んでいましたが、この本でまとめて読むと印象が異なりました。ひとつの文庫文化論のような感じです。文庫にはあとがきや解説があったりまるっきりないものもあります。ここではその解説についての評論あるいは解説ということでの実例を挙げてかなり言いたいことをおっしゃっています。楽しめました。
2021/09/19
マエダ
自分的には解説やあとがきは大切に読んでいる。なかなか切れ味鋭い解説批評。もう少し多めに見てもいいのでは、と少しフォローしたいところもある。
2017/04/25
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