二度読んだ本を三度読む (岩波新書 新赤版 1776)
二度読んだ本を三度読む (岩波新書 新赤版 1776) / 感想・レビュー
starbro
柳 広司は、新作中心に読んでいる作家です。著者と異なり私は同じ本を二度読みませんが、著者は、書評を綴っている作品を三度読んでいるので、その作品に対する思い・熱量が凄まじく、心に沁みて伝わってきます。取り上げられている作品を1/3ほどしか読んでいないのが残念です。私は最近年間500作程読んでいますが、このペースで読み続けたとしても、後30年位(15,000冊)だと思いますので、今後も同じ本を二度読まない覚悟です。
2019/06/02
KAZOO
これも斎藤美奈子さんの新書と同様に雑誌「図書」に連載されていたものをまとめたものです。18作品についての初読時や再読時の感想について書かれています。最初にはわたしも何度も読んで洋書でも読んだ「月と6ペンス」があって再度読みたくなりました。その他にも私の好きな作品があり何度もうなずきながら読みました。この中ではまだ2作品が未読でした。
2021/09/20
藤月はな(灯れ松明の火)
題名に惹かれて図書館で借りる。確かに一度、読んだ本を二度、三度、読むことは滅多にない。夏目漱石は「こころ」じゃなくて「それから」を選んでいる。その理由と当時の夏目門下生達の「それから」の評価も合わさる事で『それから』の一筋縄の行かなさが伝わってくる。シャーロック・ホームズシリーズでの言及は苦く、『キング・リア』での道化の言葉や盲目になったグロスターが感じた光景への視点は目から鱗が落ちるばかり。しかし、『兎の目』での最後の註の出版界の対応に唖然。その中でも「泣く行為は思考の停止」という言葉は強く、突き刺さる
2019/06/23
鱒子
図書館本。まずタイトルのよさに惹かれました!本についての広い知識と、まっすぐな物の見方から少し外した目線。そこから綴られる読書案内。実に面白かったです。未読の中で読みたいと思った作品は、月と6ペンス、動物農場、イギリス人の患者(いずれもそのうち読もうと思いつつ先送りしてきた3作です)。
2019/07/24
buchipanda3
著者が過去に二度(以上)読んだ本を改めてもう一度読んで書いた感想集で、十八もの国内外の小説等が取り上げられている。著者曰く「二度読んだ本は少ないが、三度読んだ本は意外に多い」。つまり二度読むほどの本はそれだけ読ませる魅力があるということのようだ。本作ではそれらの作品が持つ魅力の秘密を解き明かすかのように紹介されている。歯切れのいい皮肉とユーモアとウィットに満ちた文章は読み易く、そして読むほどにその作品への興味が募るばかりだった。特に印象に残ったのは、井上ひさしの小説家としての覚悟、太宰の解放、司馬の悩み。
2019/06/09
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