グローバリゼーションの中の江戸 (岩波ジュニア新書 〈知の航海〉シリーズ)
グローバリゼーションの中の江戸 (岩波ジュニア新書 〈知の航海〉シリーズ) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
江戸時代、日本はみずから「鎖国」の道を選び、長崎の出島でのみ細々とオランダ、中国と貿易を行っていたとするのが、従来一般の江戸幕府に対する外交観だろう。1492年にコロンブスがアメリカに到達し、その後の南アメリカでの銀山開発、鉄砲の伝来と国内生産、秀吉の朝鮮侵略、そして家康の江戸幕府。こうした一連の流れの中で、16世紀以降の日本はグローバリゼーションに巻き込まれ、やがてそのことを自覚し、転換していった歴史だと捉え直す。しかも、本書の目的は現代の日本が真にグローバルであることの意味を問いかけることにあった。
2013/03/28
壱萬参仟縁
知の航海シリーズとは、表紙見返しによると、日本学術会議が中学生でも 理解できる水準と平易な表現で学術先端を示し、関心を呼ぶという中高生への学術招待状ともいうべき本。そうした問題意識を喚起するために、水玉模様の羽織を写真で示されている(8頁~)。更紗はインドから17~19Cに全世界を席巻。語源は16C末インドの極上木綿布のsaraso,sarassesという(12頁)。
2014/07/20
coolflat
xv頁。日本では1526年から石見銀山の採掘が始まり本格的な銀山開発を始めたが、これは金が少なくなった事と、中国が銀使用国だった事からだ。1538年頃から17世紀初め、つまり江戸時代の初め頃まで、日本は世界の銀生産量の25~30%を供給していた。この銀による大きな経済力がグローバリゼーションに巻き込まれる要因のひとつだった。そしてその事が日本を大きく変え、江戸時代を作った。1540年代には中国からの木綿の輸入量が増加する。木綿は世界のグローバリゼーションを促した「もの」のひとつだ。日本もそこに関わった。
2023/04/20
sibasiba
着物の話やお茶碗の話は楽しく読んだ。しかしアメリカを妙に叩くなって思ったけど、後半になると漢字も読めない、本も読んだこともないような人物と豊臣秀吉を罵ったり、何故か山田長政が扱き下ろされたりウンザリする。アジアをまとめた明が日本の暴力を許さずその盾となり犠牲になったとかさすがに唖然とした。普天間基地や核の話やらそれこの本で話題にする必要あるの? 銀の流れとかは面白いし、「鎖国」という言葉を使うのを止めるべきとか頷けることも多いのだけど。岩波だし左の人なんだねって理解すれば良いのか?
2014/09/18
Nobu A
退官された先生の書架から譲り受けた本を読了。鎖国と言われた江戸時代をグローバリゼーションの視点から紐解き、解説し、考察。便宜上付いた「鎖国」とは裏腹に、日本が世界の中で影響を受けたり、与えたりしながら動いていたのが分かった。歴史は見る視点により様々な解釈が可能。たえず書き換えられる。ところで、時代劇の飲み屋でテーブルを囲んでの談笑は嘘等のウンチクも面白かった。歴史は奥が深い。
2017/04/13
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